裁判員の心証を良くすらための泣き落とし作戦ではないかと思える意見陳述だった。首都圏の連続不審死事件で、交際相手の男性3人に対する殺人罪などに問われている木嶋佳苗被告(37)の裁判で、きのう13日も弁護側最終弁論が行われた。阿部祐二リポーターは「被告は最後はハンカチで目頭を押さえ涙を見せていました」と裁判の様子を伝えた。
直接証拠なく、弁護側主張「疑わしきは罰せず」
公判の最後に証言台に立った木嶋は、「男性との関係のあり方など、これまでの自分の価値観が間違っていたことを気付かされた。数多くのうそをついたことを深く反省しています」と声を震わせながら陳述した。
阿部「しかし、3人を殺したことはきっぱりと否定しました」
弁護側はこの日の公判冒頭で「不確かなことで人を処罰するのは許されない」と主張、阿部は「明確な証拠がない今回の裁判で、状況証拠の積み重ねで検察の描いたストーリーで全ての事実が説明できるのかどうかが焦点になっています」と説明する。
状況証拠だけの和歌山カレー事件は死刑確定
司会の加藤浩次「この裁判は難しい。弁護側と検察側の言い分がまったく食い違っているわけだから、間接証拠だけで裁判員がどちらの言い分を採用するのか、判断が分かれるところですね」と困惑。
阿部「これまでの間接証拠だけの裁判は、過去に和歌山カレー事件があります。この裁判は最高裁で死刑が確定しましたが、カレー事件で使われたヒ素は一般的に入手困難ですが、今回の事件で使われた睡眠薬は誰でも入手できます。弁護側は木嶋と特定できるほど特殊とはいえないと反論しています」
キャスターのテリー伊藤「彼女は18歳の時から20年間、売春をして男を騙してきた。お金のためなら何でもやってきた。第一審は裁判員裁判で裁判員の心証が大きく作用するが、2審や最高裁までいったとき、プロがどう判断するだろうか。売春は認めても死刑にはなりたくないという、肉を切らせて骨を断つやり方がどこまで通用するか」
判決は4月13日に出る。