新潟・上越市の地滑りが止まらない。3月7日(2012年)に最初の兆候があったときは山裾のほんの一部だったが、翌日に少し広がって民家まで200メートルとせまったが、間にはまだ平らな田畑があった。ところが、きのう13日に平らなところを滑ってきて、とうとう11棟の集落をひとつ飲み込んでしまった。
最初は木が折れる音だったと住民は言う。「パキーン、ポキーンと聞いたことのない音だった」。地滑りが始まったところは傾斜10度ほど。地滑りの危険地域でもなかった。はじめは毎時20センチ、それが50センチになり、また20センチから70センチと定まらない。しかし、確実に動いていく。
避難準備の住民も「本当に滑って来るの?」と半信半疑
上越市は現場にブロックを積上げ、地下水を抜き取るなど食い止め対策に大わらわだが、効果のほどはわからない。現地にレポーターの岸本哲也がいたが、家が家を押しつぶし、さらに次の家が…という状況がよくわかる。リポートしている間にも、ミシミシという音が聞こえる。「あの家は昨夜はこうでした」と道路上に押し出された家の写真を見せ、「いまはこうです」と比べると、明らかに1メートル以上は移動していた。
地滑りの先端は道路をまたいだところだが、200メートルほど先に別の集落がある。上越市はここの21世帯80人に「避難準備」を勧告した。住民は家具などをトラックで運び出していたが、まだ半信半疑だ。なにしろ地滑りの先端との間は平らな田んぼなのだ。ここを滑ってくるという実感がない。しかし、きのう飲み込まれた集落だって「まさか」だった。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト