議論し尽したと野田首相が強弁する消費税増税法案のはずが、民主党執行部は党内調整を14日(2012年3月)から始めた。増税一直線で進む野田と党内増税反対派との対決というお粗末な土壇場劇だ。先行きどうなるのか。
造反議員集めて増税法案衆院否決
時事通信解説委員の田崎史郎は、増税法案の先行きについて次のような見立てをする。第1の関門は14日から3日間、執行部が行う党内調整だ。とくに増税反対を主張する小沢グループのとの対決。田崎は小沢グループは増税に反対したという実績だけを残し、執行部に押し切られるとみている。
次の関門は23日とか30日とかいわれている閣議決定。国民新党の亀井静香代表は「署名しない」「連立離脱」と叫んでいるが、ここも一枚岩でない。田崎によると、野田はこれも通過して今月末の法案国会提出まではいくと見る。
最大の関門は衆議院本会議の採決で、最も可能性が高いのが民主党から造反が相次ぎ否決されるケースという291人の民主党衆院議員のうち52人の議員が造反すれば否決される。カギを握るのは小沢元代表の裁判で、無罪なら52人の造反者を集めるのは簡単だという。
たとえ衆院で可決しても、野党の多い参院で否決される。衆院に戻されても3分の2(319人)に達しないために再可決はできない。選挙になれば民主党議員の半分が落選する可能性が高いことから、執行部が法案の審議をズルズル延ばす手もある。この場合は野田の辞任は避けられない。
選挙になればどのみち民主党は大敗
では、法案成立の見通しはあるのか。野田が解散したくないという党内の声を振り切って、自民党と『話し合い解散』に踏み切るかどうかにかかっているという。
この土壇場劇に、コメンテーターの片山善博(前総務相)は「時間をかけて議論をしたというが、ここに至るまでに党内で段取りをつけなければいけないのに、まだ党内で決まっていない。多くの議員が選挙区に帰って逆のことを言っている」と嘆く。
これに田崎は、「解散・総選挙を先に延ばしても、どのみち民主党は負けると思われている。それなら早くやるべきだろう」と民主党をバッサリ切り捨てた。