「3か月毎に来て見たがれきの山が、まだ同じ高さなんですよ。愕然としましたね」
東日本大震災から11日(2012年3月)で1年が経った。司会のみのもんたが訪れた岩手県陸前高田市で、がれきの山を前にこう嘆いた。なぜがれきの広域処理が進まないのか。東京に戻ったみのが現地での映像を交えこの問題を再び取り上げた。
受け入れ「OK」20%、「NO」27%、「検討中」41%
岩手県大槌町の碇川豊町長は次のように話す。
「仮置き場になっているところは被災前には水産加工団地で、がれき処理が進まないために復興の妨げになっている。結果、雇用が途絶えている状況です」
笛吹けど一向に踊らないがれきの広域処理について、日本青年会議所が2月から3月にかけてがれき処理能力のある998自治体の首長に聞いたアンケート調査でこんな結果が出た。「受け入れてもよい」20%、「検討中」41%、「受け入れたくない」27%、「回答なし」12%。
調査を手伝ったコメンテーターの池田健三郎(経済評論家)によると、「検討中」の中には、条件を満たしてくれれば受け入れる「前向きな検討」が多く含まれているらしい。その条件とは、安全性について住民を説得できるきちっとした材料だという。池田は「自治体の皆さんの誤解が非常に根強いことを表している。非科学的、感情的反対ですね。これを排除していかないと処理できない」と話す。
そんななかで自治体にもようやく動きが出てきた。先週9日、がれき受け入れに積極的な17の自治体の首長が発起人になり、「みんなの力でがれき勝利プロジェクト」を立ち上げた。池田は「『受け入れてもよい』と回答した20%は116自治体で、このうち表に出て発起人になったのが17自治体。あとの100余りの自治体は住民の反対がネックになっており、これをどう払しょくするかですね」という。
セメント会社や製糸会社に原材料の再利用要請
野田首相もここにきてやっと動き始めた。がれき広域処理について「日本人の国民性が試されているのだと思います」と述べ、法律に基づいて都道府県に文書で正式要請するとともに、セメント会社や製糸会社など関連する民間企業に原材料の再利用について拡大協力を要請するという。
コメンテーターの柿崎明二(共同通信編集委員)「協力要請は昨年中にできたこと。昨年6月の菅政権の混乱など政治の停滞も影響していることは間違いない」
みのが現地で聞いたこんな話を紹介した。「『東京の日比谷公園、皇居前広場にがれきを1年間放っておきますか。何で私たちのところがこうなんですか。差別に近いじゃないですか』と言われた」というのだ。