元気なときよりマインドコントロールされて売れてる中島知子
いまもなお不自由な暮らしを余儀なくされている被災地の人たちはそうではないだろうが、このところの日本人の関心事はオセロ中島となでしこジャパン、それにダルビッシュに集まっているようである。なかでも中島というお笑い芸人と女霊能者へのワイドショーの騒ぎ方は、この国の民度の低さを象徴しているとしか、私には思えない。週刊誌が大騒ぎしないのは、二人が顔を出さず、情報も少ないせいであろう。「週刊文春」だけが巻頭で「オセロ中島奪回!父親VS女霊能者の全攻防」をやっているが、これまでの話をつなぎ合わせただけである。ポスト連載「21世紀毒談」のビートたけしのひと言がこの騒動の本質を突いている。
「どう見たって、元気だったときより今の方が世の中の話題の中心にいるわけでね、かわいそうな言い方だけど、マスコミにとっちゃ『芸人・中島』より『マインドコントロールされたタレント』のほうがニーズがあったってことなんだよ。(中略)でも、テレビっていうのはつくづくいい加減だよ。最近まで、『あなたの前世がわかる』『オーラが見える』なんてインチキ臭い番組をジャンジャンやってやがったのに、いざこんな事件が起これば一転『霊能者はケシカラン』ってことになっちまうわけでね」
「週刊現代」、ポストの軟派記事は依然低調だが、今週は苦肉の策か、現代は袋とじで「『an・an』のセックス特集に学ぶ」をやっている。an・anが「セックスできれいになる。」とタイトルを打ったのは1983年だった。きれいとセックスを結びつけた見事なセンスで、男たちも本屋に買いに走った。
本木雅弘の陰毛まで写ったセクシーショット(1991年)、女性誌史上初と謳った19人の読者ヌード(1992年)、アダルトDVDを付録に(2006年)など男性誌顔負けの過激なもので、雑誌界の話題をさらった。
失礼だが、こうした革命的な企画を男性誌が再現しても、an・anを見た頃の感動は甦ってこない。いっそのことan・an編集部にソックリ依頼してつくればよかったのに。