加工工場の再建進まず「せっかくの水揚げができない」
海の中で何が起きているのか。大学の合同研究が行われた。わかったのは、津波が海を豊かにしたということだった。4月の時点で海は濁っていた。泥とプランクトンの大量発生だった。ところが、9月の映像では透明度が上がって、魚も多く、海底の生物、海草類も勢いがよくなる。さらに11月になると、無数の小魚が群れ、海草も大きく生い茂っていた。
単なる回復ではなく、震災以前より海は豊かになっていた。気仙沼港など4か所で、いずれも溶存酸素飽和度が100%前後。海の底まで酸素がゆきわたっていることがわかった。首都大学東京の横山勝英准教授は「震災で水や泥が入れ替わってリフレッシュ状態」という。
小倉「取材にいったときも、漁師さんは早く海へ出たい、『津波の後は豊漁になるんだ よね』といっていた」
森本「昔からそういわれていたようで、取材した漁師さんも『おじいさんから聞いてホントかなと思っていたけど、潜ってみたらその通りだった』と話していました。ただ、陸の加工場とかがまだなので、水揚げできないともいってました」
石巻から仙台にいたる海域でがれきは748か所も確認されている。家や車、電柱、漁具などが絡み合っていて、引き上げも難しい。一方でアメリカの西海岸に、津波によると思われる漁具、空き缶などの漂着物が流れ着き始めているという。
小倉「アメリカには2014年といわれていたのに」
自然の営みは常に想像を超える。そんななか、不明者の捜索は続く。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト