司会の小倉智昭が「3274」という数字を見せて、「何だと思いますか」と聞いた。おととい5日(2012年3月)時点の東日本大震災の行方不明者数だ。きのうはこれが「3272」と2人減った。捜索・身元確認は今も続いているのだ。
「震災前なら2、3年ものが、たった半年でこの大きさ!」
この1年、がれきが沈む海で行方不明者を捜し続けているダイバー・グループがいる。潜水捜索救難協会(太田樹男代表)のボランティアで、その記録をたどると意外なことがわかってきた。
震災直後の不明者は1万6441人(2011年3月31日)だった。グループが捜索を開始したのは岩手・山田町からで、震災1か月後だった。海底には家が丸ごと沈んでいた。障子や壁紙までそのまま。おびただしい生活用品、漁網などの漁具…。こうしたがれきにのまれていた数人を発見した。
6月、石巻市雄勝町の海へ移る。不明者は8492人(5月31日)になっていた。8月、石巻市北上町へ。不明者は4977人(7月31日)。大きながれきの撤去が進んで捜索のポイントが絞れなくなる。この頃から海の様子が変わってきた。
海底の洗濯機に黒いウニが張り付いていた。見回すとあたり一面にウニが繁殖している。養殖のワカメも伸びがよく「質がよくてきれい」と漁師がいう。気仙沼ではカキの養殖でも驚く結果が出ていた。リポートの森本さやかが「大きい」と声をあげる。殻からはみ出しそうな大粒だ。「この大きさは(震災前なら)2年から3年もの。半年でこんなに成長するとはわれわれもびっくり」と漁師もいう。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト