なかなか春の到来を実感できないなかで、一足早い桜の便りが東北の震災地から届いた。といっても、開花は数年先の「桜並木を復興のシンボルに」という話だ。
「目のつけドコロ」コーナーで、復興のシンボルとして岩手、宮城両県の被災地で進められている「桜植樹プロジェクト」を取り上げた。津波に耐えた強い桜の遺伝子で、津波の最高到達地点に桜並木を作ろう、そんな狙いだという。
大津波に耐えた名取市の桜から苗木
宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区。多くの桜がやられた中で、およそ10本の桜が津波に耐えて昨年4月(2011年)、見事に花を咲かせた。この桜の木にしがみつき九死に一生を得た人もいたという。
10本の桜を街の復興のシンボルにと地元の人たちが昨年6月、「なとり観光復興プロジェクト」を立ち上げた。津波に耐えて生き残った桜から苗木を育て、名取川沿いに仙台空港までの10キロを3000本の桜で飾ろうという計画だ。
今、10本の芽を接ぎ木し、遺伝子を受け継いだ桜の苗木が茨城県の農場で育てられている。ここで3年間育てられた後、名取市に里帰りし、6年後には被災地で開花させたいという。
陸前高田や気仙沼、石巻でも計画
変わり果てたわが家、わが町を前に、呆然と立ちすくむだけだった震災直後、花を咲かせてくれた桜に人びとはよほど勇気づけられたのだろう。ほかにも、岩手県陸前高田市では1万7000千本の植樹計画が進められ、宮城県気仙沼市や石巻市など5市町でも同様の計画が進行中だ。
司会のみのもんた「この桜を見ることで、あの震災を忘れないよう戒めになるでしょうね」
何年か先であったとしても、復興した町に咲く桜は、亡くなった人たちに対する手向けだ。