ポルトガルで開かれている女子サッカーのアルガルベ・カップで5日(2012年3月)、日本代表(なでしこジャパン)がアメリカを1-0で下し、決勝に進んだ。これまで対アメリカ戦は4分21敗だっただけに、ようやくの1勝だ。 あす(7日)にドイツと対戦する。
澤欠場にもめげず作戦通りの試合展開
8か月前のワールドカップ決勝の決着はPK戦で、記録上は引き分けだから、アメリカも期するところがあった。ワンバック選手も「われわれには五輪2連覇の意地がある」といっていた。しかも、この日は澤穂稀が体調不良で欠場というハンデを背負っていた。
ゲームが始まるとなでしこはチームワークが冴えた。身長差と長い縦パスを武器に強力フォワードが突破というのがアメリカの持ち味で、再三ゴールを脅かされたものの日本は守り切った。そして後半38分、宮間あやのコーナーキックに高瀬愛美が頭で合わせて貴重な得点をあげた。
今回からキャプテンを務める宮間は、「ワールドカップがまぐれじゃないことを証明したい」と言っていたのだが、まさに結果で示した。試合後も「まだレベルアップしたい」と話していた。代表初ゴールの高瀬は「決勝でも点を取りたい」。
佐々木則夫監督も「前半を耐えて、後半を新しい選手が決めてくれるという、予定通りの結果を出してくれたので、ノンフィクションの『スピルバーグ則夫』としては非常によかった」とごきげんだった。
ロンドン五輪考えたら「0-0引き分け」が有利だったかも
「金メダルが見えてきました」と言う中野美奈子キャスターに、司会の小倉智昭は「この勝ちがよかったのかどうか微妙」という。「ボクは0-0で引き分けて、得失点差でアメリカを決勝に進めた方が、オリンピックでは絶対戦いやすかったと思っちゃうんだよねえ」とまあひねくれ策士ぶり。さらに、「ドイツはオリンピック出られないんだから、ここで日本を叩いてやれということになる。それが一番いやでね」
そんな読みの方がよっぽど嫌らしい。当のアメリカの反応は「この5年間で最もレベルアップしたのは日本だ。素晴らしいチームに成長した」(ワンバック選手)、「日本の技術力や巧みなボールコントロールは 世界のチームのお手本だ」(スンダーゲ監督)とまことに素直だ。
スタジオには日本代表のユニフォームがあったが、ワールドカップのエンブレムに胸元にピンクのライン。田中大貴アナが「これ売れるでしょう」というと、小倉は「男子は赤い線が入ってからあんまりよくないんで、気になって」
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集主幹)「澤選手がいなくても勝てたという経験値からいっても、やっぱり勝った方がよかったんじゃないかな」
小倉「いま一番必死なのはアメリカ。オリンピックで勝たないとスポンサーもつかなくなる。リーグも休んでる」
田中「さらに怖くなったアメリカがロンドンに来ると」
小倉「横綱相撲ができるかどうか。いまから心配しちゃいけないでしょうか」