詐欺まがいのAIJ投資顧問に運営を任せていた厚生年金基金に複数の旧社会保険庁OBが天下りし、資金運用にズブの素人の基金を食い物にしていた。
旧社保庁OBの天下りの実態は、民主党のワーキンググループの調査で分かった。それによると、正確な人数は不明だが、1999年から11年間にわたり複数の職員が天下っていた。これら基金に天下ったOBとAIJを結び付けたのが、同じく旧社保庁OBでAIJと顧問契約を結んでいた年金コンサルタント会社の経営者(74)だった。経営者は基金に天下ったOBを集めて資金運用セミナーを開催し、AIJへの運用委託を勧めていた。一方、基金のOB側は虚偽とは分からず運用を委託する構図になっていたらしい。
「AIJを勧めたのは事実だが契約は各基金の判断」
コンサルタント会社の経営者は「AIJを勧めたのは事実だが、契約は各基金の判断だ」と悪びれるふうもなく突っぱねている。
年金に詳しい永沢徹弁護士は「AIJと顧問契約を結んでいるコンサルタント会社がセミナーでAIJを紹介するという構図は、旧社保庁OBを利用して基金が食い物にされたと言えますね」という。
だからと言って投資は自己責任が原則。国の救済はお門違いというのは番組コメンテーターの池田健三郎(経済評論家)。「まったく金融知識がないとはいえ、自分のおカネは自分で気をつける。お上がやってくれると思ったら甘い」とクギを指した。
所管する金融庁の自見担当相も「損失の負担は当事者間で」と、国による救済策には否定的だ。
文
モンブラン