藤原新2位のジンクス「賞金に目がくらんで必死でした」

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   きのう26日(2012年2月)に行われた東京マラソンで、ニューヒーローが誕生した。藤原新(30)はスポンサーなし、収入なし、たった1人の闘いで、日本人トップの2位。2時間7分48秒と自己記録を50秒以上も縮め、ロンドン五輪への切符をほぼ手にした。

   もう1人の話題のランナー、埼玉県庁の川内優輝(24) は途中の給水に失敗して脱落、12分台で14位とふるわず、こちらはロンドンは遠くなった。給水失敗なんて実業団なら考えられない。市民ランナーの孤独が見えた結果だった。

スポンサーつかずここ数か月は無収入

   3万6000人が参加した大会は、日本人のトップ選手には五輪代表への闘いだが、市民にはお祭り。さまざまな仮装で走るランナーがテレビカメラにアピールしていたが、そんな中、福島・南相馬市の桜井勝延市長(56)が見事完走して意地を見せた。

   藤原は異色だ。記者会見でも「カネ(賞金)に目がくらんで、もう必死でしたね」と笑わせたが、半ばは本音だったろう。「また2位かよというのがありますが、2位でも嬉しいです」と話す。そう、2位は初めてじゃない。

   2008年のこのマラソンでも2位で、北京五輪は補欠だった。翌年の世界選手権は61位、10年の東京マラソンは2位、11年は57位。1回おきの2位で、だから今年は「当りの年」となったのか。波瀾万丈は成績だけじゃなかった。

   長崎出身で拓殖大からJR東日本に入ったが、マラソンに専念したいと、10年に退社した。しかし、スポンサーがついたりつかなかったり…。ここ数か月はほとんど収入なし。自身は東京だが、妻子は富山に住む。今大会の「車のBMWと賞金400万円」は大きいわけである。

   練習もネットで海外の練習法などを実践している。ひとつの転機が昨年の暮れに女性に人気の「カーヴィーダンス」のトレーナー、樫木裕美さんから走る姿勢の矯正を受けたことだった。走る軸を調整して力みをとり、疲れないフォームを作ったという。

   レースの戦略も自分だ。この日も25キロ地点から早めにスパートをかけて、先頭集団のアフリカ勢を果敢に追い、残り1キロで前世界記録保持者ハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)を抜き、さらに1人を抜いて2位でゴールした。優勝はケニアのマイケル・キピエゴ、藤原とは11秒差だった。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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