東京マラソンの経済効果はプロ野球キャンプなどと比べるとけた違いに大きい。曇り空、気温6度の都心を参加者の96%が完走したという26日(2012年2月)の東京マラソンで、日本人トップの30歳の無職のランナー藤原新選手は、2時間7分台と歴代7位の走りで2位に入りロンドン行きを確実にした。
「けさ単」コーナーで井上貴博アナが、視点を少しかえて、完走するより参加するほうが難しいというマラソンブームの背景とその経済効果を取り上げた。
ブーム支える高齢者ランナー。メタボ対策高じて挑戦
今年の東京マラソンは定員3万6000人に対し、申し込みは28万3988人で9.6倍の競争率だった。どうしても走りたいという人もいたのだろう、10万円以上を寄付すると参加できるチャリティーランナーが1743人もいて、過去最多となった。3万6407人の参加者のうち3万5125人が完走したという。
驚かされたのはエントリー時点の最高齢者で、男子で84歳、女子が81歳だった。ブームを支えているのはシニア層のランナーたちだ。65歳以上のフルマラソン完走者は2004年に5000人台だったのが、10年には1万2819人に急伸している。その時の平均タイムは20歳男子が4時間46分49秒に対し、60歳男子は4時間39分27秒と若者よりも早かった。
背景には、メタボ対策などで始めたジョギング、ランニング人口の増加がある。体調の変化が顕著に分かるためにやめられず、高じてマラソンに挑戦するケースが増えたのだろう。
参加だけでなく「観戦」「観光」で落ちるカネ
その経済効果だが、「2012年プロ野球キャンプin沖縄が約85億円」(りゅうぎん総合研究所)に対し、「東京マラソンは約240億円」(関西社会経済研究所)。早稲田大スポーツ科学術院の原田宗彦教授によると、経済効果を増大させる条件は「地元以外の参加者をいかに集めるか」にかかっているという。
コメンテーターの池田健三郎(経済評論家)は「大会に参加したり観戦したり、あとは観光。健康にもいいし、良いことずくめですね」と言う。