役に立たない地震保険―水道・ガス管ズタズタでも補償ゼロ

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査定根拠示さぬ保険会社―腹の中は「値切れるだけ値切れ」

   住民の不満の理由のひとつが地震保険の査定区分だ。 区分は3つしかなく、全損(損害率50%以上)は100%、半損(同20~49%)は50%、一部損(3~19%)になると5%と極端に保険金が下がる。しかも、査定の詳しい根拠が示されない。契約者からはもっと細かく査定して、かつ根拠を明示せよとの声があがるのも無理はない。

   こんな例もあった。仙台のあるマンションは共用部分に大きな被害を受けて、修理の見積もりは1億円と出た。しかし、査定は「一部損」で490万円しか認めない。損害率は19%だった。1%増えれば「半損」だから保険金は10倍になる。住民は保険会社に情報の開示を求め、出てきた図面をもとに損傷箇所を探し回った。ようやく柱の一部に損傷を見つけて損害率20%を超え、保険金は4900万円になった。

   地震の補償に詳しい創価大学法科大学院の黒木松男・教授は、「戸建ちの家はわかりやすいが、マンションは見えにくい。また、地震保険の考え方が、火災保険のような補償ではなく、見舞金的な性格をもっている」という。とくに巨大地震の被害の大きさを考えると、保険会社はなるべく抑制しようという配慮が働くのだという。こうした不満の高まりに、保険会社のなかに制度の見直しに動くところが出てきた。とくに査定情報の開示だ。日本損害保険協会も国と合同で制度のあり方を検討することになった。

   まさかの時に頼れるからこそ保険であろう。もともと地震保険は最後は国が支援に回るという仕組みだ。国も本腰を入れて信頼を取り戻すいい機会にしてほしい。それにしても、気の毒な浦安の人たち、何とかならないものか。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2012年2月23日放送「マンションを救えるか~見直し迫られる地震保険~」
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