猛吹雪の蔵王で男女2人が遭難したが、約17時間後に無事救助された。氷点下10度以下の雪山でどのように過ごし、命を取り留めたのか。アナウンサーの大竹真が現地から報告した。
携帯電話で「遭難した」視界が悪く救助活動30分で中断
蔵王はいまの時期、樹氷が見事だ。2人は仙台市の男性美容師(31)と元同僚の女性(27)。2月21日(2012年)朝、仙台市を出発しロープウエィで山頂の熊野岳(標高1841メートル)に行く予定だった。しかし、午後1時ごろ猛吹雪に遭い、午後1時17分、携帯電話で「遭難した」と110番通報した。救助隊が現場に向かったが、ガスで視界が悪く救助活動は30分で中断。そのあと、もう1つのアクシデントが起きた。男性が数メートル下に滑落、2人はばらばらになった。携帯電話の電池も切れ連絡も取れなくなった。
2人は別々に雪の中で一夜を過ごし、きのう22日の午前6時50分、防災ヘリによって発見された。低体温症だったが、命には別条ない。
雪穴、ポンチョとチョコレート
無事生還できたのは偶然と、遭難への備えがあったことだ。幸運にも、男性が滑落したところに雪庇があった。雪庇とは屋根の庇のような雪の吹き溜まりで、男性はその下に穴を掘って身を隠し、風を避けることができた。専門家によると、雪は冷たいというイメージがあるが、空気を含んでいて断熱材になる。外が氷点下15度でも、雪洞をつくって中に入れば氷点下1度か2度ぐらいで、そのうちプラスに変わるという。女性は救助された時、ポンチョを着ていた。このポンチョが風をさえぎり、空気の層ができて体の熱が奪われるのを防いだ。
司会の加藤浩次「まあ、携帯電話のつながる環境で良かったですね」
キャスターのテリー伊藤「このニュースを聞いた時、正直いって難しいかなと思いましたけど、良かったですね」
大竹は雪庇の幸運とポンチョの備えに加え、2食分の食料(チョコレート)を用意していたこと、吹雪ですぐ引き返す決断をしたこと、迷った時点ですぐ110番したことも生還につながったという。
テリー伊藤「遭難となると、周りの人も大変だしね。正直いって」
登山経験の浅い2人だったが、それなりの準備と判断が幸運を呼んだのかも知れない。