橋下「小中学校留年」ネタ元の尾木ママ「私の提案と全く違う」

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   デキの悪い子は小中学校でも留年。こんな破天荒な提案が大阪市の橋下市長から出された。真意とは何なのか。火付け役になったのは教育評論家の尾木ママこと尾木直樹(法政大教授)だ。新聞のインタビューで「留年させてでも府民の子どもの学力を上げるということを橋下さんが出せたら大喝采します」と発言したことが発端だった。

市教育委員会「弊害大きい。習熟度別授業や個別の指導で対応」

   尾木ママの発言に素早く反応した橋下市長は22日(2012年2月)、市教育委員会に「学力が目標に達しない場合は、小中学校でも留年させる検討」を要請。この日の夜、さっそく市長と市教委幹部が集まり意見交換が行われた。しかし、留年は弊害も大きいと悟ったのか、意見交換が終わって橋下はトーンダウンしていた。

「1年間まるまる下の学級に下げることには問題があると思う。ただ、子供の状況に合わせて教育をしっかり提供するのは当たり前のこと。遅れている6年生が5年生の算数の授業を受けるなど時間割りを柔軟に考えたり、一定期間に集中的に授業を行う特別学級のような形もある」

   市教委も「留年制度をそのままやるのはたいへん弊害が大きい。習熟度別授業や個別の指導などの仕組みを生かす形での対応ではないかと思う」と語り、常識の範囲内で落ち着きそうだ。

橋下構想は「競わせて切り捨て」(尾木直樹教授)

   火付け役となった尾木ママは大喝采どころか、「驚きましたね。びっくり仰天という感じ。橋下さんのは『競わせて切り捨てる』みたいなトーンなんですよ。私のは、留年してでも子どもにきちっと生きていくための学力保証をやり切る。市長の留年とは違う」という。

   北川正恭(早大大学院教授)も「普通は議論をしてから出すのに、いきなりポンと出す橋下流手法。もうちょっと慎重に」と眉をひそめる。

   金井辰樹(東京新聞政治部次長)「橋下さんは昨日(22日)の会見で、分からない授業をそのまま受けさせると、子どもがぐれてしまうみたいなことを言っていた。ある意味、真理のような部分もあるが、小中学校で留年してしまってぐれる心配も考えてあげないといけない」

   国の統治機構を変える意気込みは結構だが、前のめり続くとどこかで転ぶことになる。

文   モンブラン
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