「日本軍による南京大虐殺はなかったのではないか」
名古屋市の河村たかし市長のこんな発言が波紋を呼んでいる。友好都市の提携を結ぶ南京市からは「交流の一時停止」を通告されたり、中国のネットには「名古屋に行くな」などと書き込みが相次いでいるという。
この問題は両政府間で共同研究がおこなわれ、一応の決着がついたはずなのに、なぜ今ごろになってこんな発言をしたのか。
「撤回・謝罪するようなモノではありません」
ことの発端は2月20日(2012年)の定例記者会見での河村市長の次のような発言だ。
「戦闘行為があって多くの方が亡くなられたことは事実だが、一般市民に対する虐殺行為はなかったのではないか」
河村発言の根拠は、市長の父親が終戦時に南京市民に温かいもてなしを受けており、「虐殺が行われていたらそうした対応はなかったはずだ」と言うことだった。同様の話は、この日にたまたま名古屋市を訪問中の南京市幹部にも伝えられたらしい。
仲間内でつぶやく程度ならともかく、記者会見でやられては中国側も黙ってはいられない。当然、中国外務省の報道官は反発し、南京市も21日に1978年以来続いてきた友好都市の交流を「一時停止する」と発表した。
これに対し、「撤回ないし謝罪の考えはないのか」と問われた市長は、「ありません。そういうものでは全然ありませんので」と応えている。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト