天皇陛下の心臓バイパス手術は無事終了したが、執刀医の順天堂大・天野篤教授(56)は心臓を動かしたまま手術する「オフポンプ術」3200件というスペシャリストだ。成功率の高さ、正確な技術から「神の手」といわれる。手術後の会見では「日常の生活を取り戻した時点が成功」と慎重だったが、「陛下から『いいようです』というお言葉が聞けると期待している」と自信ものぞかせた。
「先生に執刀してもらいたくっても、大変なんでしょうね」
バイパス手術はどんなものだったのかを、「もう1人の神の手」といわれる東京ハートセンターの南淵明宏センター長が、スタジオでやって見せた。練習用の血管の模型があって、実際と同じように鼓動しているのを特殊な拡大鏡を使い、髪の毛よりも細い針と糸を使ってピンセットで縫合していく。いや、とんでもない技術。しかも話をしながらだ。
「緊張はするが、すればするほど結果を出す。縫い始めると、自動縫合機スイッチオンみたいになって、状況を見定めた時点で99%勝負が決まる」
司会の小倉智昭が「よく糸がからみませんね」「血はもれないんですか」といろいろ聞くが、手が止まることはなくスラスラと答えていく。南淵氏は「日本の技術は世界をリードしているが、その前にカテーテルの治療が世界一というのがある。これでパイパス手術が定着した」という。
陛下の手術が成功したというので、全国的にバイパス手術を受ける人が増えそうだともいわれ、中野美奈子アナが「でも、先生に執刀してもらおうと思ったら大変なんでしょう?」といいことを聞いた。
南淵氏は「いえ、病院にアクセスしていただいたら大丈夫です」
これはあくまで模範解答だろう。医療機関によって成功率に大きなばらつきがあるのも事実。「いい医者にあたるのも寿命のうち」というのは、なお生きているといっていい。
陛下はきょう20日(2012年2月)午後、ICUから一般病室に移り、22日からリハビリ開始。順調なら3月3日 に退院の予定だ。皇居坂下門で受けつけた記帳は1万7000人を超えた。