洗浄・移汚じゃ終わらない放射能汚染―新除去技術にも難問

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   福島第1原発事故から間もなく1年になる。現在、政府が進めている除染作業は、汚染濃度の高い警戒区域と計画的避難区域だが、今後は宮城、福島、茨城など8県102市町村が除染計画を策定し、国の財政負担で行うことになっている。

   しかし、剥ぎ取った汚染土の仮置き場がないことや高圧洗浄によって汚染水が下流に流され川や海に汚染が拡散する問題も出て、作業に支障が出てきている。そんななか、除染技術の開発が進んでいる。

放射性セシウム下がったが大量の汚泥

   東京工業大とNPO法人の研究グループが開発した汚染水の除染装置は、福島県本宮市の市立和田小学校のプールで行った実証実験で成果を上げた。プールは1リットル当たり919ベクレルと、飲料水の暫定基準の5倍近い数値に汚染されているが、排水が水田に引き込まれる仕組みのため、これまで排水できずにいた。

   開発された除染装置に用いられたのはインクや絵の具に使われるフェロシアン化鉄。この物質は粒子のなかに放射性セシウムを取り込むことができる。これに新たに開発された吸着凝集剤を加えると、放射性セシウムを吸着した汚泥物は沈殿し、浄化された上水と分離できる。昨年12月に和田小で実証実験を行ったところ、汚染水の放射性セシウム濃度は10ベクレル以下と期待通りの成果を上げた。ただ課題も残った。放射性セシウムを含んだ汚泥がステンレス12缶分も出て、いまだに小学校に保管されたままだ。

   福島大学の震災復興プロジェクトのメンバーで、地域経済が専門の小山良太准教授は、この成果について次のように語った。

「福島は阿武隈山系に雨が降り、地下水として溜まり、それが沢から出ていずれ水田に入る。どこかで放射性セシウムを止め、除去する必要がある。この技術は10ベクレル以下に下げられるわけですからすごく有効な技術と思う」
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