「社会保障と税の一体改革」が17日(2012年2月)の閣議で決定された。中身は、議論のタタキ台のはずの素案を一字一句変えずに大綱としただけ。連立を組む国民新党の亀井静香代表は閣議決定を翌日に控えた16日、こんな発言をしていた。
「絵に描いた餅というのはよくやるけど、(大綱は)絵に描いた壮大ないたずら書きだな。そんなものを閣議決定してね、常軌を逸しているよ」
この日の夜には別の動きもあった。民主党の輿石幹事長が都内の飲食店で小沢民主党元代表、鳩山元首相に会い、閣議決定について理解を求めたらしい。ところが、鳩山は「消費税増税法案をこのまま通せば大変なことになる」と噛み付き、小沢は黙って聞いていたという。
「維新の会」脅威論で「いまはかなわない」
コメンテーターの与良正男(毎日新聞社論説副委員長)はこう解説する。
「政府の思惑は大外れ。自民党はもともと消費税増税を言っていたし、閣議決定もしていない案では協議できないと言っていたから、素案のまま大綱に変えて決定したのだろう。大変なことになるという鳩山発言の一番のポイントは何だと思いますか。『国民が』とは言っていないですよね。選挙で負けて政権を失うと言いたいんでしょう。そこが根本的に間違っていると思う。結局、何も動かないまま選挙になる可能性もある」
もっとも、解散に追い込むと威勢のよかった自民党はここにきて何も言わなくなった。与良は「橋下さんの『維新の会』に対する脅威、これはかなわないみたいな脅威論が強まって選挙を言えない」と見ている。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト