福島は深刻な人手不足―実働4時間で月給34万5000円。3度の食事付き
このところ軟派記事に見るものがない。今週の「週刊現代」、「週刊ポスト」は「告白 お父さんたちの終戦記念日」(現代)、「世界ではSEXをこうして教えている」(ポスト)。現代は男として終わった日を「終戦記念日」とタイトル付けしているのは買えるが、内容はほめられたものではない。ポストのほうもマンネリで無理矢理頭でつくりあげた企画としか思えない。だが、ポストの「YURI通信」はいいよ! なんでもないフツーの女の子の笑顔と彼女の裸身が見開きで載っているだけなのだが、ジッと見入ってしまう不思議な雰囲気をもった女性である。
今週の注目記事を2本あげる。まずは「AERA」の「被災地のハローワーク 福島『求人』職種の危険度と賃金」。東日本大震災の被災地で起きていることを「求人」というキーワードから探ってみようというひと味違った記事である。南相馬市の中心地にあるJR原ノ町駅前のホテルは復興関連の人々でごった返しているが、深刻な人手不足で悩んでいる。放射能が怖いために、20代から30代の女性が来てくれないのだ。時給700円という安さもあるかもしれないが、経営的にそれ以上は無理だ。
有効求人倍率は復興事業支援策予算約11兆7000億円もあって、福島県相双地区の場合、求職者数549人に対して求人数は1.7倍の962人もある。求人数で最も多いのが医療福祉で全体の19.1%、次いで建設が18.2%。昨年11月から求人を始めた福島市内の建設機器レンタル業者によると、時給800円でも他に割のいい仕事があるからさっぱりだという。防護服を着用しなくてもすむ一般住宅などの放射能除染関連の仕事だと月給20万円ほどで、放射線量の高い区域などでの直接的な原発事故関連作業だと25万円以上になる。
ハローワークで調べてみると、瓦礫撤去や構造物の解体、手作業による物資の積み込みの仕事は、1日の実働は4時間で月給は27万6000円から34万5000円。宿泊に3度の食事付きだ。だが「履歴書に必ず血液型と緊急の連絡先を記入」という特記事項が付いている。この求人を出しているゼネコン傘下の零細業者は「30人の定員に全国から150人ほど応募があった。ただし、安全のため40歳以上の男性に限定しています」と話している。私のような高齢者でも雇ってくれるだろうか。
原発から20キロ圏内の警戒区域で空き巣パトロールの仕事もある。3交代で24時間体制。従事しているのは地元消防団の人たちが多いという。日給は7000円ほど。樹木の伐採の求人も多い。だが山の急斜面での伐採は危険を伴うし、伐採時に放射性物質が飛び散る危険も加わる。林野庁が出した現場監督と調査を手がける係長の求人は、月給24万6800円から40万1800円だ。
専門技術を必要とされる職種は当然ながら高賃金である。宮大工は基本給の3倍の月給最高34万5000円までを支給する建築会社(いわき市)がある。ほかには、放射線測定員が基本給16万円から24万円。韓国語や中国語の翻訳などの仕事もある。韓国語の翻訳員が基本給17万4300円。中国語の通訳が基本給14万80円。求人票からは復興が進まない分野も見えてくる。福島県内の漁協は操業を自粛しているために求人はゼロである。