これから深刻になる2号機の漏水と放射能汚染拡大
「M7クラスの首都直下型地震が4年以内に起こる確率70%騒動」は、発信元の東大地震研究所平田直教授の「ヤマ勘発言」でいくらか下火になったが、心配なのは福島第一原発2号機の温度が急激に上がっていることである。16日(2012年2月)の東京電力の発表では、一時的ではあるが400度超の異常値を示したことがあるそうだ。東電は蒸気や塩分にさらされたことによる電気回路の劣化で温度計が故障したことが原因と発表しているが、疑念は消えない。東電の嘘つき体質への不信感はもちろんだが、もともと2号機は他に比べても内部の損傷が激しく、いまだに建屋内に入れず、溶けた燃料棒がどんな状態にあるのかも掴めていないからだ。
「週刊朝日」の福島第一原発幹部によると「2号機は崩壊する」と書いてあるではないか。あわてて読んでみた。幹部によると、温度が上がった理由には、飛び散った燃料棒のカケラが温度計の近くにきた、注水パイプの不具合などが考えられるという。さらに幹部は、これから別の問題が起きてくると話す。炉内に注水する水の量は少しでも減らしたいと現場は思っている。ホースの負担も少なく、放射能汚染された水の漏れも少なくて済むからだが、いま2号機には大量の水を注入しているから、温度が下がったとしても、ホースに負担がかかって漏水が増えれば、放射能汚染が拡大するし、フクイチ内の作業にも影響が出てくるというのである。
2号機の温度上昇についての発表も東電は数日遅れた。国民の知る権利に応えずに、赤字になったからと一方的に企業向けの料金値上げ通告をしてきた東電に対して、企業や自治体から猛烈な反発が起きている。莫大な公的資金が投入される東電は、もはや一民間企業ではなく、国有化されても仕方ないのではないか。発送電の分離を含めて、政治が強力なリーダーシップをとらなければ、この国は東電とともに沈んでしまいかねない。