「機械学習」が可能にした分析・応用・取捨選択
人間のようなしたたかさを持つコンピューター。それを可能にしたのは画期的プログラム「機械学習」だという。ボンクラーズには、江戸時代から現在までのプロ棋士の5万局の対局のデータが入力されている。記憶するだけでなく、プロ棋士がどんな時に有利になるかを分析し、優れた指し方の原則を見つけ、未知の局面でも自分で応用ができる能力や取捨選択の技術を身につけた。
ボンクラーズを開発した伊藤英紀は、「プロの指す手と同じ手を、100%でないけれど、かなりの確率で指すようになってきた」と自信のほどを語る。
内多「プロ棋士に立ちはだかった機械学習ですが、これは何ですか」
人工頭脳に詳しい電気通信大助教の伊藤毅志が解説した。
「コンピューターには、局面をどちらがどのくらい優勢かを評価する評価関数がある。以前は手作業で入れていたが、これを自動的に機械に学習させる手法が開発され、プロ棋士に近いような局面の評価ができるようになった」
内多は「機械学習が新たなステップに入ったことで、次に何が待っているかワクワクしますが、コンピューターに凌駕されるのでは」と心配したが、伊藤助教は「人間とコンピューターは違うので、長期プランは人間、単純作業はコンピューターにやらせることが必要になってくるでしょう」と答えた。
人間の頭脳に近づいてきているコンピューターも、使うのは人間。まださほど心配するほどではないのかも。むしろ、文科省の「SPEEDI」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のように、あっても使わない粗大ゴミ化を心配したい。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2012年2月8日放送「人間VSコンピューター 人工知能はどこまで進化したか」)