「南極の氷の湖到達の方が興味がある」
小倉が興味があったのは深い方の話だった。南極の氷の下にあるという湖の話だ。ここにロシアの科学者チームがボーリングで穴を開け、湖に到達したというのだ。掘削した距離3.8キロ。小倉が、新聞記事を要約してしゃべった。
「19世紀からボストーク湖というのがあるといわれてきた。大きさが幅50キロ、 長さ250キロ。2000万年前に氷に閉ざされているので、そこに微生物、生命がいるのかどうか。もしいたら、木星をまわっている氷に覆われた衛星がありますが、そこにもひょっとして生物がいるかもしれないという話になる」
湖もそうだが、掘削の途中の氷もそれぞれの年代が凍りついているのだから、少なくとも2000万年分の地球の歴史が冷凍されているわけだ。興味は尽きない。
小倉「非常に面白い研究です。こっちの方が興味がある。上の方はどうでもいい」
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト