「週刊ポスト」肯くこと多い大メディア、新聞、テレビ批判
今週は各誌に読みたい記事が多くて、どれを選択するか、嬉しい悲鳴を上げた。中でも「週刊ポスト」の充実ぶりが目立つ。先の東大地震研のいい加減な数字の問題も文春に先んじて取り上げている。そこでは発表した側にも問題があるが、それを十分に検証せず、飛びついて扇動するような報じ方をするほうにも問題ありと断じている。とくに最近は、部数低下に悩む新聞に週刊誌よりもセンセーショナリズムがひどく、記者は読者が注目する数字を欲しがっているから、すぐに飛びつき、さらに週刊誌やテレビがその情報を増幅していく「ジャーナリズムの末期症状」(桂敬立正大学元教授)が現れているという。ポストの大メディア、新聞、テレビ批判には肯くことが多い。
ライバル誌「週刊現代」に対する批判も先鋭化してきている。放射能の危険性についての記事でも、自らを安全デマ派としながら、現代を中心とした危険煽り派を批判していた。また、年金を受け取る時期についても、現代の早くもらったほうが得だという論調に異を唱えていた。今回も現代の「引っ越しますか?『確率7割』もう避けられない東京直下型大地震 」(2月11日号)について、「疎開を提唱する始末である」と斬り捨てている。
私は、メディアが相互に批判し合うのはいいことだと思うし、ポストの批判に反論しない現代にはやや不満がある。小沢一郎についてもそうだ。反小沢の現代と親小沢のポストで、「小沢は首相に値する器か」を互いにやり合ったらいい。
放射能の危険性についてもほとんど報道しなくなったが、原発事故と被曝による健康被害の問題は、まだまだ議論しなくてはいけない問題である。「サンデー毎日」で、NHKの「追跡!真相ファイル『低線量被ばく 揺らぐ国際基準』」(昨年12月28日放映)に、原子力ムラのOB112人が噛みついたことを報じている。番組では、国際放射線防護委員会(ICRP)の元委員から、原発や核関連施設に配慮して低線量被曝の基準を強化しなかった事実とともに、「(緩和の判断に)科学的根拠はなかった」という重大な証言を引き出している。112人には、原発立国を推進した金子熊夫元外務省原子力課長や宅間正夫東電・柏崎刈羽原発所長など、原発安全神話を作り上げてきた連中ばかりが並んでいる。
定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機について、経済産業省原子力安全・保安院がストレステストの1次評価の作業を終え、近く「妥当」とする審査書をまとめる方針を決めた。反対や慎重な意見の多い中で、こうしたことがまかり通ろうとしているのだ。まだ原発事故は収束したわけではないことを、片時も忘れてはいけない。