長渕剛が「とくダネ!」のスタジオで、3日前にできたという新曲「愛おしき死者たちよ」を披露した。東日本大震災の被災地でのライブ、詩の朗読、映像づくりなど、支援活動を続けている長渕がさらに思いを綴ったバラードだ。
「絶望の底を見つめる者同士のやさしさ歌いたかった」
黒いコーデュロイのジャケットにギターを抱え、トレードマークのサングラス、真っ暗な中でピアノだけの伴奏で歌った。
「決して絶望をなげくんではなくて
深く見つめてゆくものだ
悲しみを 抱きしめる覚悟があるから
俺たちは生きてゆけるのさ」
「甦れ 愛おしき死者たちよ!
100年かけても眠るんじゃないぞ!
無言の痛みと 無念の怒りたちで
貧弱な俺たちの胸を 叩き続けてくれ」
「あぁ そして俺たちは また船をこぐ
あの海に立ち向かい 船をこぐ」
5分近い長い曲だ。
長渕は「ホントのやさしさとは何なのか。絶望の底を見つめる者同士にやさしさはあるんじゃないかと、そこを歌いたかった」という。
司会の小倉智昭「紅白を見て初めて泣いた。長渕さんが歌った小学校は、ボクが一番最初に入ったところで、がれきは片付けられていたけど、泣きましたもの」
長渕「なくなってしまった大地をほんの一瞬でいいから輝かそうという思いでしたね」
このあと長渕は「ひとり」を熱唱した。サングラスなしで、「ひとりぽっちにさせてごめんね もう二度と離さない 離れない 離れたくない」
「もう一人辛口の自分がいて、そいつとの闘いですね」
長渕は「死と生は隣り合わせで…。被災地へ行ったときに『この子を見て下さい。3月11日生まれなんです』とお母さんが抱っこしてきた。ボクは思わず抱きしめて『強くなるぞ』と言ったんです。何かしら苦難のなかにいるとき、春の新芽がふいてくるくるような、日常の一番大事なものが隠されているような気がした」と話した。
朝のスタジオは初めてだという。「聴きたい歌を歌いたいというのから衝動が始まる。でも、もう一人辛口の自分がいて、そいつとの闘いですね」
小倉「辛いんですか」
長渕「辛いんですよ。なかなか100点をくれない。子どもが歌い継いでくれるような歌を書いていきたいが、まだまだ」
笠井信輔アナ「震災で何が変わりましたか」
長渕「変わったことはないが、確かに何かのスイッチは入ったし、変わらざるを得ない。変わらないといけない」
小倉「長渕さんの受け止め方も、ひところより変わったんじゃないかな」
中野美奈子アナ「こんな優しい人なんだと、個人的には嬉しくなった」
これに長渕も「そうですか」と嬉しそうだった。