4月から中学必修「柔道」死亡事故多発は大丈夫なのか

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   文部科学省は日本の伝統文化を絶やさないためにもと、この4月(2012年)から全国の中学校で、柔道を含む武道を必修にする。ところが、ここにきて柔道の部活動や授業中に多くの子どもが死亡していることが明らかになった。名古屋大学の内田良准教授が文科省所轄の独立行政法人・スポーツ振興センターの資料を分析して判明したもので、内田准教授は「体育の授業の中で事故が起こりやすいのは、バスケ、サッカーに次いで柔道は3番目だが、死亡率は柔道が最も高い。柔道の授業に対する安全対策も施されてもいないし、そもそも事故のデータも文部科学省は集めていない」と指摘する。

受け身できない初心者に柔道経験ない教師

   キャスターの国谷裕子は「なぜ柔道の授業で死亡率の高い事故が起きるのか。これまで学校で亡くなった子どもの数は中高合わせて114人。今夜はその原因を検証します」と解説した。

   柔道で事故が起こりやすいとされているのは大外刈りだという。相手を引き寄せ、胸を合わせるようにして相手の態勢を崩したあと、右足を振り上げてふくらはぎやアキレス腱のあたりで相手の足を刈り、相手の真後ろまたは右後ろに投げる技である。この技は後頭部から落ちることが多い。脳震盪を防ぐため、受身を十分に習熟している必要があるとされる。ゲストの愛知県がんセンター総長で全日本柔道連盟医科学委員会副委員長の二村雄次氏は、「必修科目になったといっても年間15時間前後。これだけの時間では受身を身体に覚え込ませるのは難しい」と危惧する。

   さらに、もう一つの問題も浮上している。指導者の資質だ。中学校の体育教師の大半が柔道経験がない。学習指導要領の解説には投げ技や乱取りまで記載されているが、二村は「自分も驚いたが、経験のない先生が短時間で投げ技や乱取りまで教えるのは危険。安全指導が不十分というのが現状」と語った。

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