連日集中砲火を浴びている田中直紀防衛相がきのう6日(2012年2月)、秘書官の交代を明らかにした。後任は北沢元大臣の秘書官で、前任者の再登場という異例の展開だ。いったい何があったのだろう。
委員会中に無断で審議を抜け出してコーヒーを飲んでいたというので、委員長から注意を受けるやら、「風邪薬が」どうとか弁明するやらで、田中問題はいまだに尾を引いている。きのうの参院予算委でも、「日頃のクセで、あそこに行くとタダ座るだけでなくコーヒーをたのむという精神で…。在籍期間は国会内ではコーヒーを飲むことはしないという決意で臨みたい」というコーヒー断ち宣言には笑ってしまう。
つまらないクイズ番組のような国会質問と答弁
先週の衆院予算委では、石破茂・元防衛相の質問に対して、秘書官が大臣に答弁メモを渡そうとすると、「メモ出さないで。秘書官と議論しているわけじゃないからね」とやられたが、そのメモを出していたのが、交代させられた万浪正秘書官だった。
田中は交代の理由を「体調不良」としているが、防衛省側の判断だったのかもしれない。後任は吉田孝弘氏。事情通は、普天間問題にも精通しており、助け舟を出すにしてもそつのなさは評判だったという。これで「素人答弁」から抜け出せるのかどうか。
司会の小倉智昭「田中大臣のやり取りを見ていると、つまらないクイズ番組を見ているようでちょっとひどすぎる」
竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集主幹)「秘書官の問題じゃなくて、大臣としての資質の問題だ。(首相の)任命責任もある。シビリアンコントロールで制服組は出せないのだから、精通した人を出すよう任命の仕方を考えてもいいのではないかとあらためて思いますね」
野党の追及の中身もお粗末だ。口頭試験よろしく大臣の防衛知識を試し、そんなことも知らないのかとなじる。費やす時間が惜しくはないのか。いまや、田中は何を聞かれても目の焦点が定まってない。防衛知識を必死に詰め込んでいる風も見えない。質問にも秘書官の助け舟にも、聞いてるんだか聞いていないんだかもわからない反応。こんなことで秘書官を交代させられてはたまったものではあるまい。代えられた方も、代わった方も災難としかいいようがないだろう。