各地で豪雪被害をもたらしている異常寒気は偏西風の蛇行が原因で、3日午前7時(2012年2月)の全国の最低気温を見ると、沖縄を除いてほとんどが氷点下を記録した。とくに冷え込んだのは九州で、熊本で氷点下6.7度、長崎でも氷点下3.0度を記録し、1981年以来31年ぶりの寒さだった。
ソウルで放水ポンプ凍り全焼。東欧では凍死89人
韓国ソウル市の2日の最低気温は氷点下17.1度で、2月としては55年ぶりの寒さという。ソウル市内を流れる漢江は氷が厚く張り、歩くことができる状態で、小学校が一部で休校になった。そんな凍てつくソウルで1日未明にアパート火災が発生、消防車が駆け付けたが、ポンプの水が凍りつき放水できずにアパートの一室が焼失してしまった。市内を走る電車はドアの隙間に入った雪が凍りつき、ドアが開閉できない状態になったという。
東ヨーロッパのルーマニアでも氷点下32.5度を記録。ロイター通信によると、東欧全体で低体温症などから89人が亡くなっている。
来週後半までは寒さひと息
東アジアから東欧までが、なぜ異常寒気に見舞われているのか。気象予報士の藤富郷によると偏西風の影響。いつもは北極を中心にほぼ楕円形に吹く偏西風が、今年は形を変え、東欧や日本向けて大きく蛇行した。その偏西風に寒気が入り込み、逃げ場がなくなって居座った状態が続いたという。
この寒気は4日以降、いったん東に遠ざかるため寒気は緩む。次の寒気が到来する来週後半までは降雪も少なくなるので、藤富は「この間に除雪をしておくのが良い」という。 問題は人手不足だ。八代英輝(国際弁護士)がこんな指摘をした。
「海外の雪害は凍死者が多い。これは貧困やインフラなど社会整備をしないと解決しない。日本の雪害は圧倒的に雪下ろし作業の事故で、これは防げる。一部で海上自衛隊が派遣されているようだが、陸上自衛隊も派遣したらどうか。政府が災害指定すれば雪下ろしの協力体制が取れると思う」
閣内の失言やら不祥事、消費税増税にばかり目が行き、災害対策はいつも後手に回っている民主党政権。今回もそうした気配りは一向に見えてこない。