高画質、ソフト、付加機能で復活できるか?
首都大学東京の森本博行教授は「2000年以降、日本企業が行ったリストラで技術者が韓国へ流れ、技術も流出したのが大きい」という。大規模投資による規模の経済と為替のメリットをこれらが支えた。しかし、日本のメーカーもテレビ生産をやめることはできないという。「テレビは家電の顔なんです。ここから撤退することは、家電から撤退することになる」
むろんメーカーも必死だ。大阪のメーカーが今月発表したパネルの画素数はハイビジョンの4倍の高画質だった。日本でしかできない。問題はこれをどう生かすか。各社の戦略もそれぞれだ。
ソニーの発表会にはハリウッドスターのウイル・スミスが登場した。主演映画をテレビで観てもらう。ソニーはゲーム、映画、音楽を自前で作っている。これらをネットで配信して、テレビで観てもらう戦略だ。パナソニックはテレビと他の家電製品をつないで、テレビで家中の家電をコントロールさせようとする。シャープは画面の大型化で挑む。60型以上の液晶パネルはシャープ の独壇場だ。その画面をホワイトボードのように書き込み可能にすることで、オフィス、病院、学校などでの需要を作り出そうという。
シャープの片山幹雄社長は「次のテレビが何者かを模索しないといけない。どんな価値を加えられるかが復活のカギ」という。試行錯誤の先はまだ見えていない。厳しい知恵比べは続くようだ。
と、ここまではわかったが、昨年まで続いた「地デジ化」の大騒動が出てこない。テレビ事業はこれで大いに足を引っ張られたのではなかったか。その話が聞きたかったが、NHKも一枚かんでいただけに出しにくかったか。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年1月26日放送「日本メーカー テレビ復活のカギは」)