野田首相も小沢一郎も「困った身内」後始末おおわらわ

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「万年筆というのは、男が外へ出て持っている場所は、それは男の武器だからねえ。刀のようなものだからねえ、ことにビジネスマンだったとしたらね。それに金をはり込むということは一番立派なことだよね。貧乏侍でいても腰の大小はできるかぎりいいものを差しているということと同じですよ」

   作家・池波正太郎は万年筆についてこう語った。県立神奈川近代文学館で「作家と万年筆展」が開催されているが、それを「週刊現代」がカラーグラビアで紹介している。池波や向田邦子、吉川英治らが使っていた万年筆と原稿が載っているが、それぞれ作家のこだわりが見てとれて興味深い。

   編集者は手書き原稿から作家それぞれの思考過程が読みとれて、これほど楽しいものはないのだが、いまの味気ないワープロ原稿はその楽しみを奪ってしまった。さりとて、この原稿を万年筆で書いてFAXで送ったら担当編集者は怒るだろうな。

   このところどうしたのか、現代と「週刊ポスト」の「エロ度」がどんどん低下していっている。ポストの前半グラビアは「見上げてごらん」。太陽、月、星が地上と重なる瞬間をとらえた美しい写真と「わが大学の人情定食屋」。後半に「SEXY居酒屋でカンパ~イ!」と可愛い娘のセクシー写真はあるもののヘアはない。現代も女優のセクシーと「ジュリアナ東京の時代」で、特集に「変態の大研究」があるが、内容は出来損ないの研究論文のようで「エロ度」はゼロといっていい。これでは両誌を買う意欲が半減してしまう、そう思うのは私だけだろうか。

ネットオークションにドハマリのバカ首相補佐官

   今週は「週刊新潮」のおもしろさが抜けている。読みたい記事が1本では買ってもらえないが、2本あれば買ってみようかと思ってくれるし、3本あれば間違いなく買ってくれるといわれる。今週の新潮には読みたいと思わせる記事が2本あった。「ネットオークション三昧の『バカ首相補佐官』」と「『小沢一郎』糟糠の妻が家出した理由!」である。

   まず「バカ補佐官」と呼び捨てにされているのは手塚仁雄(よしお)代議士、45歳。手塚は野党と官邸の間に立って野田佳彦総理の意思を伝え、意思疎通をはかる重要な立場にいる。野田総理を利用して自分の選挙を有利にしようとしていると批判されているが、それはともかく、多忙を極めているはずの手塚が、実は政策秘書まで使ってヤフーオークションの競売に熱心なのだというのだ。ハンドルネームには息子の名前を使い、IDに含まれる数字は「440」(よしお)。昨年(2011年)6月から約240日間に取り引された件数は最低でも241回。土日もなく取引に励んでいる。

   出品している品は「マーク&ロナ 新品スカルポロシャツ」「グッチ ナイロン製ミニリュック」「フェラガモ ビジネスバック」「越乃寒梅 大吟醸 超特選」など幅広い。競り落とした品はミニカーが多いようだが、9万400円で「クロムハーツのブレスレット」、26万9800円で「ボッテガ・ヴェネタ メンズバッグ」。ヤクオクに出品する品には必ず写真が添付されるが、いくつかの品は議員会館の部屋で撮ったと思われる。また、ある人が商品を落札したら、「国会内」と書かれた切手が貼られたうえ、振込先の名義がテヅカヨシオで、送り主は彼の秘書だった。手塚の怪しい経歴も書いてあるが省く。

   手塚の弁明がすこぶるおもしろい。彼から送られてきた封筒に「国会内」と書かれた切手が貼られていたがという質問に対して、「国会の郵便局から出して何が悪いんですか」と開き直る。プライベートな取引に使用するIDまで秘書に使わせていたそうだ。さらに、議員会館で写真まで撮って、公私混同と批判されても仕方ないがという質問に対しても、こう答える。

「国会議員の特権を使っているわけでもないし、趣味の延長だし、こんなことでの取材自体、ちょっと度を越していると思います」

   この御仁、私的なヤフオクの取り引きのために、会館で写真を撮ること、秘書を使うことが国会議員の「特権」の乱用であり、税金の無駄遣いであることに気づかないのだ。どじょう総理は消費税増税で四苦八苦のときに、このバカ補佐官の後始末までしなくてはならない。ちょっぴりかわいそうな気もする。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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