議員定数削減ホントに有効?日本は議員少なく給料高い

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   野田政権が目指す消費増税の前提条件は「身を切る」ことで、即ち議員歳費と議員定数の削減だ。玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が「そもそも総研」コーナーで議員定数に切り込んところ、実際は「いささか見当違いの政策」であることが判明した。

民自の削減案「歳費1割カット」で同じ効果

   玉川が「サラリーマンにとって身を切るといえば、給料が減ることだ。そっちではないのか」と、各国の議員歳費(下院)を比較した。日本2106万円、イタリア1338万円、アメリカ1335万円、 カナダ1198万円、ドイツ944万円、 フランス842万円、英国778万円と 日本がダントツだ。議員1人あたりの経費も、日本は文書通信交通滞在費1200万円、秘書給与(3人分) 約2300万円があって、計約5600万円にもなる。政党交付金はまた別だ。

   では、議員定数削減でこの予算はどのくらい減るのか。民主党案は85削減だから約47億6000万円、自民党案は72削減だから約40億3200万円となる。玉川がこの金額を議員数722人で割って1人当たりの額を出してみると、民主案で約660万円、自民案で約560万円と出た。

   玉川「議員1人当たりの経費をこの金額分削れば、議員定数を減らすのと同じことになるんです。だったら、減らさなくてもこっちでできるじゃないかとなる」

   松尾貴史(タレント)が「(金額は)1割強だね」

   玉川は「こんなことを言うのは、定数削減で弊害(マイナス)があるのではないかという懸念からです」として、一橋大の只野雅人教授に聞いた。只野教授は「中小の政党が議席を取りにくくなる」「議員1人が代表する人口、選挙区の規模が変わる」「細かな意見が反映されにくくなる」などをあげ、「議員数は多くはないので、減らすのはデメリットになる」と説明した。

   松尾「働かない、働けない国会議員が多すぎることが、『減らせ』になりやすい。みな働いていれば多いよとはならない」

   その通り。今回も解散の声が出たとたんに「国会にいる必要はない。選挙区に行け」と支持しているボスがいる。このボスはかつて新人議員に「君らの仕事は次の選挙で当選することだ」とも言った。そんな議員は要らないということだ。

欧州・カナダ国民10万人に議員1人、日本は27万人に1人

   そこで、議員1人当たりの人口をG7各国で見ると、ヨー ロッパとカナダは10~13万人。アメリカだけ71万人とケタが違うが、これは独立性の高い州議会のためだ。対して日本は27万人。議員数は人口に比べてヨーロッパの半分以下と少ないのだ。もともと日本の議員数は明治時代に、郡に1人と決まった。当時は郡の人口が10万人くらいだったからだ。その後、人口がどんどん増えたということらしい。

   玉川は各党の国会議員に「なぜ議員定数削減なのか」を聞いて回った。

   城島光力・民主党国対委員長「身を切ることが先行しないと、国民負担(増税)をお願いできない」

   玉川「国の負担ということなら、歳費(経費)の削減の方が効果がある」

   城島「身を切るのと金額とでは質的に違いがある。場合によっては、自分がひっかかるかもしれないという覚悟がいる」

   玉川「選挙に強い議員、世襲みたいな人ばかりになるのではないか」

   城島「可能性は否定しませんが、最終判断は有権者ですよね」

   自民党の田野瀬良太郎幹事長代行は「身を削るのは数も歳費削減もある。ただ、削減幅は定数削減の方が大きい。あまり貧乏にしてしまうと、金持ちしか政治家になれない」という。これには明らかに事実誤認がある。

   松尾が噛み付いた。「全く逆。政治家にうまみがあるんだ。政治家はほぼボランティアに近くなっていいと思う。そういうシステムを作ればいいんで、今のままお金を減らそうとするから貧乏だとなる」

   これが正論。玉川も「議員をおいしくない職業にしないといけない。選挙にお金をかけないといけない人は、国会議員にならなくていいというくらいの意識にならないと」という。定数と金額、議論の意外な盲点が見えた。

文   ヤンヤン
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