今年(2012年)のインフルエンザは5年ぶりに香港A型だという。1月19日には東京も流行入りが宣言され、全国の患者は前週の2倍になった。そんななか、鳥インフルエンザの研究が中断しているという。鳥インフルエンザは致死率60%というキラー・ウイルスだ。1997年以降、鳥から人への感染で600例がわかっているが、問題はこれが人から人への感染タイプに変異する可能性があること。この研究をしていた鳥インフルエンザ研究者39人が、科学誌「サイエンス」「ネイチャー」に「鳥インフルエンザウイルスH5N1型に係る一切の研究を60日間自主的に中断する」という声明を発表した。
致死率60%。研究室から漏れたら世界の半分が死亡
東大医科学研究所の河岡義裕教授らのグループは、鳥インフルのウイルスが人から人に感染しやすくなる遺伝子変異を発見し、科学誌に発表しようとした。その直前になって、米政府から「テロに悪用される懸念」が表明され、掲載見合わせとなった。
声明に名を連ねた国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は「苦渋の決断だった」と言う。遺伝子のどこがどう変わったら人型になる可能性が高いかを明らかにしたが、そのまま発表すればバイオテロにも応用が可能というわけだ。「科学技術の進歩の光と影といいますか」という。ウイルス研究者の外岡立人氏は「人の間で感染して死亡率6割以上のウイルスを、人工的に作ったということだ。研究室から漏れ出たら世界の半数以上が死ぬかもしれない。そういう時代に入ったと認識しないと」という。
司会の羽鳥慎一「大変なことが起きてるわけですね」
レポーターの所太郎がこれまでのインフルエンザ の致死率を比較で出した。「スペイン風邪(1918~19年)2%」「アジア風邪(195758年)0.5%「香港風邪(1968~69年)0.5%」「新型インフル(2009~2910年)0.0045%」だが、これに比べて、鳥インフルエンザ(H5N1) は60%とけた違いだ。
所「だから感染した鳥が発見されるとすべてて殺処分してきたのだが、研究者はこれが人型に変異するのを恐れていた。ワクチンを作るためにも解明を急いでいた」