司会の羽鳥慎一が切り回す「週間人物大辞典」コーナーで、きょう20日(2012年1月)に取り上げた1人が、芥川賞受賞で「もらっといてやる」とうそぶいた田中慎弥氏(39)だ。このコーナーは人となりを伝えるのだが、山口県下関で田中と一緒に暮らす母親の真理子さんのインタビューが面白かった。
「ちょっと気難しい。自分が言ったことを絶対に曲げない」
母親「(受賞会見は)見ました。すごくあがり症なんでしょうね」
――もらって「当然」みたいなことを言ってましたが。
「なんか冗談に言ってましたね。自分が今まで苦労してきたから、自分にそう言ったんですかね」
――人前で話すのは?
「苦手、苦手。お客さん来られてもあまり話ませんし。でも、時々面白いことを言う子ですね」
田中は4歳で父親を亡くし、 地元の工業高校では新聞部にいて、常に文庫本を持ち歩いて時間があればが読んでいた。卒業後も就職はせず、アルバイトもしたことがない。小説は20歳から書き始めた。真理子さんは婦人服の販売で慎弥さんを養ってきた。
――息子さんが就職しないのは心配ではなかったですか。
「心配は通り越してましたけど、こっちもあきらめて」
――創作活動はいつなんですか。
「どこへ行っても、田舎へ帰っても、夜なんか鉛筆握っている。正月盆はないです。1日1回は何があっても鉛筆握るっていうか、日頃コツコツやってきてるので、とうとう受賞したかという気持ちでしたね」
――感謝の言葉などはありました?
「言葉はないですけど、本人は思っているでしょう。言葉に出していう時もありますけど、飲んだ時にね。私が具合が悪かったりすると、『どうかね、こうかね』とかいって気にはしてくれています。変わりませんよ、他の方と」
――性格をひとことで言うと…。
「悪い言葉でいったら偏屈。ちょっと気難しい。自分が言ったことを絶対に曲げない。曲げないというか、(発言に)責任を持つっていうか」
石原都知事への皮肉はその性格の表れか。「水準には達してないね」といわれると、「石原さんに肯定されたくない。石原さんに褒められるほどヤキは回っていない」と口が減らない。5回目のノミネートを「まぬけです」と言ったことに、羽鳥が「ではこれまで(受賞を)辞退した人はあったのか」と振る。2人あった。1人が芥川賞の高木卓(昭和15年)で、「先輩が候補になったと勘違いして辞退した」(羽鳥)。もう1人が直木賞の山本周五郎(昭和18年)。「もっと新しい人にと」言ったという。
赤江珠緒キャスター「どうして辞退したのかは、わかってるんですか」
羽鳥「どうして辞退したか? いま言いましたよ」(爆笑)