「芥川賞、もらっといてやる」という作家・田中慎弥氏(39)受賞会見発言がが影響したのかどうか、選考委員の石原慎太郎都知事が「選考委員を辞める。全然刺激にならない」と言い出した。芥川賞をめぐる毒舌合戦として、「ニュースのつぼ」コーナーで取り上げた。
「あはは、いいじゃない、皮肉っぽくて」
芥川賞の発表のあったおととい17日(2012年1月)の会見で、田中は「4回も落っことされた後ですから、ここらで断ってやるのが礼儀といえば礼儀ですが、私は礼儀を知らないので、もし断ったと聞いて、気の小さい選考委員が倒れたりしたら、都政が混乱しますんで、都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる」と、石原に敵意むき出しだった。石原が「ばかみたいな作品ばっかりだよ」と発表前の6日に語っていたことが伏線となったようだ。
昨日、田中発言について聞かれた石原は、作品に関しては「田中君の方はまだましだったと思うよ。読み物として読めたけど、ある水準に達していないね、全然。僕は△しかつけなかった」と論評。「もらっといてやる」発言には、「あはは、いいじゃない、皮肉っぽくて」と受け流した。
「初々しくかわいい感じの人。これで文藝春秋売れる」(福田和也)
司会の小倉智昭が文芸評論家でもあるコメンテーターの福田和也(慶大教授)に聞く。「田中さんをご存知だそうですけど」
福田「田中さんは文芸誌の『新潮』の新人賞を受賞しましたが、私が選考委員をやっていましたので、彼のことはずっと認識していました。5回目で受賞は厳しいですよね。ふてくされるのも仕方ない気もする」
アナウンサーの中野美奈子「どういう感じの方なのですか」
福田「受賞式のとき、ちょっと話しただけですから。その時は初々しく、かわいい感じの人でしたけど」
小倉「文章力は相当ある方なんですってね」
福田「独自のスタイルは持っていますね。まあ、これで作品が掲載される『文芸春秋』はかなり売れるんでしょうね」
小倉「今度は、『書いてやる』というんじゃないですか」
となれば、読者としては「読んでやる」か。