読者の書き込みで飲食店の人気ランキングをつける「食べログ」サイトでやらせが問題になったが、誹謗中傷する投稿を逆手に取った詐欺まがいの業者が登場した。狙われたのは、マウスピース矯正を行っている「セレライン矯正歯科」の高畠一郎院長。誹謗中傷する書き込みに悩んでいたところ、業者から「悪い書き込みが口コミ広場に3件ありましたね」と電話がかかってきた。
1件15万円。複数なら割り引き
高畠院長が録音していた電話は次のようなやり取りだ。
業者「書き込みを削除できます。1件の書き込みを削除する成功報酬として15万円、複数お任せいただくと少し安くします」と持ち掛けてきた。本当に削除できるのか疑問に思った院長が、「お宅のほうがインターネットに入っていくわけですか」と聞くと、業者は「ハッカー的な形で消すということではなく、顧問弁護士と相談して正攻法のかたちで」と答えた。
第3者が削除することを運営会社が応じるはずがない。院長はこの削除の誘いに乗らなかったが、2週間後に同じ業者から再び電話があった。「料金を安くできる。1件5万円、3件まとめて15万円にします」という。院長が断ると、業者は別の話を持ち掛けてきた。今度は「先生のほうで実際に頂いている(患者の)お喜びの声をベースに、何件か書き込みを行わせていただく」という。つまり「やらせ」で、院長は「私の主義に反する」と誘いにのることはなかった。
悪口書いておいて削除持ちかけ
ITジャーナリストの井上トシユキはこう解説する。
「宣伝であることを隠しながら、ネットユーザーが書いているふりをするのを『ステルスマーケティング』といいますが、これが出てきたのは2005年ごろ。ブログブームがピークに達した時に登場しました。いまでは、食べログや歯科医院、エステサロン、美容外科にも登場していて、運営会社はニセと分かったものをこれまで1000件以上削除しています」
では、法律で取り締まれないのか。ネットに詳しい弁護士によると、こうしたニセ書き込みは「自然増や自然減があり、因果関係の立証が難しく取り締まりは困難」という。
司会の加藤浩次「録音を聞くと、詐欺に近い部分がありますね」
キャスターのテリー伊藤「最初に悪口を自分が作っておいて削除を持ちかける。マッチポンプの可能性がありますね」
井上は「短期的に絶賛が続く店は疑ってみたり、ネットを鵜のみにしないで自分自身が判断することだ」という。