昨年(2011年)7月に新築された福島県二本松市の3階建て賃貸マンション1階の室内の床から、1時間当たり最大で1.24マイクロシーベルトの放射線が検出された。年換算すると国の基準の10倍に達する数値だ。
5200トンが建設会社19社へ。数百か所で使用
高汚染は、マンションの土台部分に福島第1原発の30キロ圏(計画的避難区域)にある浪江町の採石場に山積みされていた石が使われたのが原因とみられている。石は震災前に採掘しほぼ野晒し状態で保管されていた。計画的避難区域に指定される昨年4月22日までに、福島県内の建設会社19社に約5200トンが出荷された。経産省が流通経路を調べているが、大半は福島県内の水路や住宅など数百か所で使われたと見られている。
マンションには原発事故で避難してきた住民もいる。浪江町から避難してきた主婦は怒りを抑えながら、「娘が受験生で、やっとここで落ち着いて生活できると思っていたんですけど、こんなことになってしまって」と嘆く。
ありとあらゆるものが汚染されている
あれだけ土壌汚染などが騒がれているなかで、なぜ平気で使ったのか。経産省は採掘された石には安全基準がなかったため出荷自粛の要請をしていなかったと言い訳する。業者も出荷自粛の指示がないためそのまま出荷していたという。
「頭が回らなかったということですかね」という司会の加藤浩次に、精神科医の香山リカが「ありとあらゆるものに(汚染が)いっているわけで、安全基準なかったというマニュアル的なもので対応はできないですよね」と話す。
安全性を軽く考えて原発事故を起こしたあげく、さらに今回の経産省の追い打ち。真剣味に欠け、どこか他人事で、弛緩しているとしか思えない。