「まるでタイタニックのようだった」
乗客4200人を乗せ地中海の島々をクルーズ中だったイタリアの豪華客船「コスタ・コンコルディア号」が座礁した事故で、興奮が収まらないアメリカ人女性はこう語った。事故から一夜明け、巨大な豪華客船は船腹を半分ほどさらし浅瀬に横たわっていた。
満員の救命ボートに乗客殺到
事故が起きたのは13日(2012年1月)午後8時過ぎ。乗客が撮影した映像には、「キャー」「ワー」という悲鳴が飛び交う中、「神様、こわ~い」の男性の声が混じる。アメリカ人女性によると、「ガガガという音がして岩に乗り上げたような衝撃があった。次の瞬間、照明が消え、船体が左に傾き始め、暗闇のかなで皿が飛びグラスが割れる音がした」
また、日本人の男性乗客によると、「かなりの勢いで傾き、机の物がすべて落ちパニック状態になった。スタッフが満員だからと言っているのに救命ボートに次々人が飛び込んでくる状態で、その瞬間は死を覚悟しました」と話す。事故当初のアナウンスは「発電機の故障」だけだったという。
日本人乗客43人は全員無事だったが、慌てて海に飛び込んだ乗客など5人が死亡、70人がケガをし、依然15人の安否が分からない。
乗客・乗員見捨てた船長「事故が起きるはずがない」
なぜ巨大な客船が岸間近の危険なルートを航行したのか。地元メディアは「本来のルートでないところを通過していた」という見方をしているが、乗客を残して一足先に避難した船長は「岩からも100~150メートル、岸から300メートル離れて航行し、事故が起きるはずがない」と言い訳をしているという。
全長290メートルのこの船は客室1500室、各種レストランやカジノ、プールを備えていた。ツアー参加費は出航日によって異なるが、日本から参加すると11日間のツアーで1人20万円というから割安ではある。
映画「タイタニック、になぞらえ、キャスターのテリー伊藤が「タイタニックのイメージで必要以上に恐怖を感じた。照明が消え、物が落ちれば当然、恐怖心はありますよね」と話す。コラムニストの勝谷誠彦も「あの映画の影響は善し悪しで、乗客はあの恐怖を感じたのでしょう。『タイタニックではありません』と言っただけで、パニックは静まりますよ」