被災地「届かない年賀状」住所不明1割―転送先もわからず

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   郵便事業会社「釜石支店」では、元旦の7時に年賀状配達の出発式が行われた。

「今までの年賀状とはひと味違った非常に大事な年賀状です。差出人から受取人への思いが、絆がいっぱい詰まった年賀状です。『負けねぇぞ釜石』の合言葉で一丸となって頑張ろう」

   こんな激励のあいさつに送られてスタートした配達員のなかに、年賀状の配達は2度目という20歳の鳥屋部絢香がいた。自分も津波被害を受けた鳥屋部が、この日配達する区域も津波の被災地で、300軒分の年賀状を配りにバイクで出発した。

「御無事でしょうか、心配しております」

   被災地では年賀状配達までに相当手間がかかった。まず、通常通りに宛名通りに仕分けしたあと、さらに転送届の出ている年賀状を再度仕分けをする。それでも住所不明で届けられないものが1割に達したという。そのうちの1軒、差出人が手書きで書き添えた「御無事でしょうか、心配しております」という簡単な文言に、受け取った女性は「ありがたいと思っています。生きたんじゃなくて、生かされたという感じがします」

   さらに別の家では、女性が「こんなに寒いのに」とわざわざ出てきて鳥屋部にお菓子のプレゼント。「エ~、お年玉!有難うございます」と元気が湧く。

   この女性への年賀状には、「この年頭のハガキがお手元に届くことを切に祈っています」と安否を気遣う文言が…。女性は「心配してくれているのかな、嬉しいですよ。ちょっと(年賀状を)書く気がしなかったけど、(返事を)書かなきゃ」

   鳥屋部は「ハガキ1枚で安心できたり、絆が繋がる。大事だなということを改めて思い直しました」という。

   コメンテーターの八代英輝(国際弁護士)は「メールという便利なものもあるが、紙の年賀状は人の手間がかかっている分ぬくもりを感じる」と話す。はるな愛は(タレント)は「出す気にならなかった方が、年賀状を頂いて返事を書こうという気持ちに変わる。1枚のハガキには大きな気持ちが伝わる」という。

   キャスターのテリー伊藤「まだ仮設住宅ですから、なにも変わっていないですからね」。

   右往左往するばかりではかどらない行政は頼りにならない。だからこそ、安否を尋ね、激励する一枚の年賀状に重みがある。

文   モンブラン
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