26日(2011年12月)に公表された政府の東京電力福島第1原発事故調査・検証委員会の中間報告は、原子力発電は危険性を伴うにもかかわらず、安全性が強調されるあまり、非常時への備えが不十分だった結果、重大な事故が起きたと指摘した。
この調査は東京電力や原子力保安院などの関係者456人から聞き取りを行い、畑村洋太郎委員長(東大名誉教授)は「想定外という言葉が随所に出てくるが、ではどんな想定をしていたのかとなるとまったく分からない」と語った。
非常用冷却装置あったのに使い方わからず
メインキャスターの小倉智昭は「原発にリスクが伴うことは分かっていたはず。本当に安全だと思っていたら、想定外などという言葉は出てこないはず」と批判する。
畑村委員会は、事故直後に現場で何が起きていたのかも検証した。それまで1号機にある非常用の原子炉冷却装置を作動させた経験や訓練はなく、冷却操作の不手際や認識不足が炉心損傷を早めた可能性があると断じた。また、避難指示でも緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が活用されず、「ともかく逃げろ」と原子力保安院の検査官がいち早く逃げ出していた。
コメンテーターのデーブ・スペクター(テレビプロデューサー)は、「昔のゴジラの映画でゴジラが上陸してくると、散りぢりバラバラに八方へ逃げるというシーンがあるけど、そんな雰囲気になっていたのだろう」と話す。
菅首相1時間も席外して緊急事態宣言に遅れ
最終的な意思決定は首相官邸の5階で行われていたが、地下の危機管理センターとは携帯電話が繋がらなかったことや、当時の海江田万里経済産業大臣が菅首相に原子力緊急事態宣言の発令を要請したのに、菅は1時間も席を外してしまったことなどが指摘された。
小倉「何でこんなにバラバラなのか。緊急事態に備えてのマニュアルはなかったのか」
高木美保(女優・農芸家)「そもそもマニュアルはなかったとしか思えない。全電源喪失という事態も考えていなかっただろうし、非常用冷却装置が使えたのに使い方が分からなかったという。本当の危機をまったく考えていなかったのでしょう」
委員会は来年夏までに最終報告書をまとめる。