「大阪都構想」を引っさげて精力的に永田町や霞ヶ関を走り回った橋下徹・大阪市長は、最後を石原慎太郎都知事とのエールの交換で締めくくった。地方の首長のあいさつ回りに政界がこれほど反応したのは前代未聞。なかなか痛快だった。
電力改革で「大阪・東京連合」
なかで面白かったのが、石原知事の前に会った猪瀬直樹副知事。猪瀬は橋下と並んだ会見で、「電力の供給体制」について東京と大阪が連携して問題提起していこうと話したという。橋下は「今の電力供給体制には問題がある。1社独占、地域独占、原発への過度の依存をあらため、一から作り直す必要がある」と、他の発電業者のアクセス拡大など電力自由化に言及した。
これだけではよくわからないので、テレビ朝日ディレクターの玉川徹が猪瀬副知事に聞いた。東京都と大阪市はそれぞれ東京電力の2.6%(3位)、関西電力の9.29%(1位)の大株主。両者が連携して株主提案をやる。具体的には、東電の株主総会に猪瀬が、 関電には橋下が出かけていってネジをまくというのだ。猪瀬は「いま賠償などで国と東電が話し合っているが、これは非公開の株主総会みたいなもの。そこで内々に決めるのをけん制しないといけない」と言い、東京、大阪が独自に発電所を持つ必要があるとして、「電力の供給責任を果たせないとしたら、都は天然ガス発電所を作っていく。大阪も作って、東西で同じことをやりながら、『薩長連合』じゃないけど、 国、電力会社に切り込む」と話す。
国がやらないなら自治体が発電所造って「発送電分離」
2日間で橋下は25人の政界のキーマンに会った。そして26人目が中田宏・前横浜市長で、橋下は「大阪都構想での制度設計を統括するポスト」への就任を要請して、中田は快諾したという。
松尾貴史(タレント)「橋下さんが府知事になったときにはこうならず、市長になったとたんにこれだけの人が会う。みな足元が心配なんでしょう」
玉川「目的がはっきりした手段(人の配置とか)であって、大統領制に近い知事や市長だと、目的がはっきりすれば手段はついて来る。ところが国の方は目的がはっきりしないから迷走する」
司会の羽鳥慎一「猪瀬さんの話はどうでした?」
玉川「原発の再稼働が難しいから電力は不足する。あとは火力しかない。といって電力会社はそんな金がない。そこで自治体が作るという話。脱原発は橋下さんだけだが」
羽鳥「実現性は?」
玉川「最終的には国だが、霞が関には変えたくないのがいっぱい。だったら、自治体が先に発電所を作って、発送電の分離を進めるぞということです」
羽鳥「大阪市長がね…」
松尾「こういうの見たことないですね。みんな不気味に思ってるんじゃないですか」
いやいや、地方から動くというのは民主主義の王道。日本人はすぐに慣れてしまう?