「普通、事件が起きた後だからと少しは控えるものですよね。でも、事件翌日の今月(2011年12月)13日と14日の2日間で12隻もの中国漁船が韓国側に拿捕されています」と、木下康太郎リポーターは呆れたように伝えた。「フカボリ」コーナーで、なぜ中国漁船が韓国との境界線を越えて侵入するのか、その背景を中国・山東半島にある密漁漁船の基地・石島で探った。
出漁基地・石島「ああ、韓国側の魚だよ」平然!
木下は「この漁港は中国最大の規模で、常時3000隻前後の漁船が集まっています」と紹介する。街の路地や魚市場で多くの魚が売られているが、露天商のおばさんは「とれたのは韓国側だよ」と平然としている。港で仕事をしている漁民に韓国海洋警察係官刺殺事件についてたずねると、「よく分からない」「知らない」と口調は重い。
取材班は不可解な漁船を発見した。マストに韓国国旗が掲げられているのだ。海洋問題研究家の山田吉彦・東海大学海洋学部教授は、「韓国側から正式な操業許可をもらえれば国旗を掲げることはできます。でも、中には密漁をカモフラージュするために国旗を揚げる密漁船もいます」と解説する。
拿捕されると船長は解雇
中国の漁船には船主(オーナー)がいて、船長は雇われ船長がほとんどである。木下は「もし拿捕されれば船長は解雇されます。だから、なんとしても逃げたいという思いが強くなるわけです」と報告する。
山田教授「10隻の漁船で船団を組めば、1か月の売り上げは約5000万円。拿捕されたときの罰金は500万円で、1晩で釈放されます。捕まっても儲けは出るわけで、密漁は後を絶ちません」
メインキャスターの小倉智昭は「中国の近海漁業は乱獲と海洋汚染でダメになってしまい、韓国側に入るようになった。この動きがいつ日本周辺に押し寄せるか分からない」と危惧する。
夏野剛(慶応大学特別招聘教授)「今年だけでも数百隻の中国漁船が韓国側に拿捕されているといいます。中国漁船による密漁問題は他山の石ではなく、今からその対策を講じておくべきだ」
すでに日本海での密漁は行われている。