「フェイスブック恐怖症」そんなつもりで投稿したんじゃないのに~

   みんなが好きなのはなあに? それがわかるとちょっとウレシイ。そんな気持ちが世界中を席巻したのがフェイスブックだ。でも、ちょっと怖いと気付かされることがあった。自宅で仕事をしていたある休日、ラジオから古いR&Bが流れてきた。カラっとした天気に聞くとどこかに出かけたくなるような、そんな陽気な音楽だと思っていたが、雨の日の午後でも、雨音と4ビートが同じようにリズムを刻むようで心地いい。まさに「いいね!」の世界。もともと好きだった曲が、意外なシチュエーションに合うことを発見した小さな喜び。フェイスブックって、そんな小さな喜びを「いいね!」で共感していく世界だと思っていた。

「私ってステキってこと言いたかったんでしょ」

   そうしてフェイスブックにこの発見を投稿したところ、意外な反応がきた。仕事で付き合いのある人のコメントで、「ボクもこの曲好きなんです。ライブにも行きました」となかなかいい感じだ。実はちょっと苦手だった某氏で、フェイスブックにお友達申請が来た時も、承諾をクリックする指がキーボードの上を行ったり来たりした相手だ。迷いながらも、結局は承認するをクリック。そんな某氏だったからこそ、音楽を通じて少し共感しあえたことがより嬉しかった。なんか仲良くできるかもしれないと。

   後日、その彼と会う機会があった。「フェイスブックのコメントありがとうございます!ライブっていつ行かれたんですか」

   ウキウキして聞いてみると、「何年か前に来日してたことがあって夫婦で行ったんですよ。かなりいいライブでした」とにこやかに答えてくれた。こんな一面もあるんだ。ステキな御夫婦で羨ましい。これまで知らなかった素顔を知ることができて、少し距離が縮まったような気がした。が、しかし、次の瞬間……

「雨の日にこんないい曲を聞きながら仕事している私って、ステキ~ってこと言いたかったんでしょ」

と彼は言った。ここで私の小さなハートはグシャっと音を立ててつぶれた。距離が縮まったかのように思えたが、その場から飛行機で飛び去りたいような気分。これもまた相手の知られざる一面。そんな風に読み取る人もいるのかと、それは戒めであり恐怖すら覚える瞬間でもあった。怖い怖い。解釈の仕方は人それぞれ。それ以来、しばらくフェイスブックに投稿できない日々が続いた。

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