年金破綻必至!定年延長より起業支援せよ
現代が提起した「年金を60歳からもらおう」というキャンペーンは反論を含めて大きな論議を呼んでいる。再来年4月から年金受給開始が65歳からになるため、60歳で定年になると空白期間が5年もできてしまう。現代の主張は、年金制度自体破綻することは目に見えているのだから、受給額が多少減らされても60歳から年金をもらったほうが利口だというものである。それをポストなどは批判しているが、今週の「週刊朝日」は「年金はあと22年で枯渇する」と鈴木亘学習院大教授の発言を取り上げている。鈴木はまず、現在の年金制度は若い頃に支払った保険料が日本年金機構に蓄えられ、それが原資として運用され、増えた金額が老後に支払われるのではなく、支払った瞬間に消えてなくなる自転車操業の仕組み「賦課方式」であることを多くの国民が誤解しているという。
よくいわれるように、このまま少子化が進むと2023年には現役世代2人で1人の高齢者を、2040年には1.5人で1人の高齢者を支えなければならなくなる。厚労省のさまざまなごまかしを鈴木は「粉飾決算」だと難じる。さらに、現在の国民年金の未納率は4割といわれるが、減免者や猶予者を合わせると実質未納率は6割近くになるという。したがって結論は、基礎年金の税方式化、つまり消費税で調達せよというのだ。今の年金受給者は支払った保険金の約8倍の年金を受け取っているのだから、余剰分を国に返せ、それができなければ相続税を上げろと主張している。私も年金受給者だが、もし私が100歳まで生きればそうなるのかもしれないが、鈴木のいうほどもらいすぎているとは思わない。
だが、今のような年金制度では、若者たちが年金保険料を支払いたくない気持ちはよくわかる。そうなると100兆円以上あるといわれる積立金を切り崩していくしかなくなる。厚労省がいくらたぶらかそうと思っても、年金制度はどのみち長く続かないことはたしかだろう。消費税が本当に年金目的税になるのならば、消費税5%程度は仕方ないとは思うが、今の厚労省官僚たちは全く信用できない。よって消費税増税には反対である。
こうしたなか、厚労省が企業に65歳まで社員の再雇用を義務化する方針を明らかにしたと新聞が報じている。年金に対する不安が広がっているのを抑えるために厚労省が考えた「懐柔案」だろうが、企業にそれを負担できる体力があるとは到底思えない。また、お情けで会社に置いてもらっても、肩書きも奪われ、かつての部下の下で働くのは精神的につらいものがあるはずである。それならば、定年になってもバリバリやれる者たちが起業できるよう、国が金銭的に援助する制度をつくるほうがいいと思う。年寄りには数十年の知恵が詰まっているのだから、これを利用しない手はないはずだ。