「彼は子どもに救われましたね」
東京・江東区のマンションで37歳の父親が1歳になる長男の首を絞め10階から投げ落とした事件で、長男が奇跡的にかすり傷で済んだことについて八代英輝(国際弁護士)がこう言った。
この事件があったのは15日(2011年12月)朝。大手建設会社「鹿島」の社宅10階に住む橋本真吾容疑者(37)から、「子どもを殺した」と110番通報があった。調べたところ、長男は高さ50センチほどの植え込みの中に落ち、それがクッションになって顔にかすり傷程度のケガを負っただけで命に別条はなかったという。
精神的に変調「仕事上の悩みあった」
橋本は「首を締めたあと窓から落とした」と供述しており、警視庁は殺人未遂の疑いで逮捕した。「仕事上の悩みがあり不安定になっていた」と話しているという。
橋本は妻と殺そうとした長男、長女(4)の4人暮らし。犯行当時、妻は長女を幼稚園に送るために留守にいていた。ただ、橋本が精神的に変調を来していたためか、妻の母親と橋本の母親が様子を見に来ていたという。
八代「裁判では彼にどういう動機があったのかがポイントになる。それはそれとして、彼は子供に救われましたね。(子どもが死亡したら)一生『子殺し』の罪悪感を背負って生きていかねばいけない。それを子どもが救ってくれた。これをきっかけに精神的に立ち直って欲しい」
いや、わが子を殺そうとした事実は残る。いずれ子どもと父である橋本がその事実と向き合うときがやってくる。その時、子どもがどう理解してくれるか、やはり動機がポイントになるのだろう。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト