高温高効率のゴミ焼却施設でさらに濃縮
千葉県・柏市のゴミ焼却場では作業員が防護服とマスクで身を固める。柏市はゴミを100分の1に減らせる最新の焼却施設を造ったが、焼却後の灰から7万ベクレルという高い放射線量が検出された。
国谷「高温で燃やせば燃やすほど放射性物質の濃度は高まっていきます」
焼却灰の一部はすでに全国各地の埋め立て処分場に運ばれていた。柏市は国や東京電力にドラム缶数百本分の焼却灰の保管場所を確保するよう要請している。同じ千葉県の流山市はこれまで焼却灰の処分を秋田県に委託していたが、都市凝縮の深刻さに気付いた秋田県の自治体は、これまで運ばれてきた300トン近い焼却灰の返却を指示した。返却された焼却灰の処分をどうするか。流山市に解決策はない。焼却灰が溜まり続ければ、ゴミ処理がストップする心配が強まっている。
国谷「国の指示ではコンクリートで固めて処分となっていますが、そのコンクリートをどこで保管するのか。先が見えない状態です」
森口「柏市では、セシウムなどの放射性物質が付着していると思われる草木や落ち葉などを分別・保管しているようですが、量が多くなれば自然発火の危険性もある。かといって、焼却灰を水に流せば河川や海が汚染される可能性が高い。私たちの生活環境をどう守るのか。時間のかかる作業ですが、行政と市民が一体となって考えていく必要があります」
その具体的な解決策を提案するのが専門家の役割のはずだが、「行政と市民で考える必要」と言われてしまっては、やっぱり解決策はなく、都市は汚染が拡大するのかという不安を煽っただけである。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2011年12月12日放送「知られざる『都市濃縮』」)