「まさか、自殺とは」
テレビリポーター奥山英志の死について、生前の彼を知る友人や芸能界の仕事仲間は一様に驚いている。テレビ画面で見せていた屈託のないチャーミングな笑顔の裏で、人知れぬ悩みがあったのか。「とくダネ!」は自殺とみられるその死の原因を探った。
仕事はないか…、母親の看病で疲れた…
40年来の友人という歌手のあべ静江は「もっと強い人だと思っていた。まさか自分で命を断つとは」。ゴルフ仲間のタレント池谷直樹は「本当にみんなの前では明るくて、そんな風に見えなかった」。高校の同級生だった千葉県知事の森田健作は「母親の看護で心身ともくたびれていたと聞いていたけど、だからといって(自殺は)考えられない」。取材で取り上げた双子の長寿姉妹のきんさん、ぎんさんには孫のように可愛がられていたが、2人の家族は「(きんさん、ぎんさんは)そんな慌てて(天国に)来んでもええのにと言ってるわ」と驚いていた。
ここ数年、仕事が減り、家族の介護の問題も抱えていた。リポーターの平野早苗が奥山の心の変化を思いたどる。2007年ごろから友人で脚本家の横沢丈二に死生観を語るようになり、「死ぬ時は潔く死にたい」と漏らすようになった。去年(2010年)6月、番組の元スタッフに「死ぬ時は迷惑をかけない。人にも言わない」と話し、今年1月には横沢に「仕事はないか。ドキュメンタリーでナレーションをやるのは意義がある」などと語っていた。そして、3月の東日本大震災後に行方不明となり、4月に遺体が発見された。平野は「仕事と家族の間で悩み、精神的にも弱くなっていたのかもしれない」と話す。
文
一ツ石| 似顔絵 池田マコト