福島・双葉病院の悲劇―原発事故避難で死亡した50人の寝たきり患者

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「救えたはずなのに…」生き残ったスタッフに自責の念や心のキズ

   96人を抱える静岡・磐田市の特別擁護老人ホームでは、月に1度避難訓練をしている。従来の避難計画は火災対策が主で、戸外に避難すればよかったが、いまは患者を3階へ運び上げることも想定している。車イスのままがいいのか、背負った方が早いか…。訓練では患者1人をスタッフ2人でかかえて階段を駆け上がった。20人運ぶのに17分かかった。96人だと1時間以上かかる計算だ。訓練のたびに新しい課題が見えてくるという。

   この問題を調査しているびわこ学院大学の烏野猛准教授は、「国も自治体も指針がない以上、カギとなるのは平時のリスクマネージメントの応用だ」と言う。スタッフ1人ひとりがリスクを意識すること。誰も助けにきてくれない前提でスタートした方がいいとも言う。

   犠牲者を出したケースでは、生き残ったスタッフの自責の念や心のキズも大きい。また、誰を先に助けるかという命の優先順位 (トリアージ)も課題だ。双葉病院の鈴木市郎院長は、「たとえ余命幾ばくもない人でも…」と言っていた。これが原点だろう。いま双葉病院に入るには防護服がいる。乱雑に移動されたベッド、散乱するシーツや毛布…。あの日がそのまま凍り付いている。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2011年12月1日放送「救えたはずの命~『寝たきり避難』の課題」)

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