有罪判決を下した二審の裁判官たちはコロコロ変わる証言を本当に信じたのか。所太郎レポーターは「証人はひと言で言えば、掴み所のない、自分の世界にこもっているという感じでした」と伝えた。福井県・福井市で1986年に起きた女子中学生殺害事件で、11月30日(2011年)に再審が決定した裁判の経緯を追った。
「モニバド」インタビューでも話は二転三転
「モーニングバード」はこの裁判を左右した証人を3年前から追っていた。殺人罪が確定し服役した前川彰司さん(46)は、一審では無罪となったが二審で逆転。再審請求審で名古屋高裁金沢支部(伊藤新一郎裁判長)は「事件後に被告と一緒に行動したり、目撃したりしたとする知人証言は信用性に疑問がある」と再審の決定を下した。
所「当時の裁判で、検察側は犯行に使われた凶器は文化包丁としていましたが、再審請求の中で遺体の解剖写真が提出され、傷口と包丁のサイズが合わないことが明白になりました。これが再審の決め手となりました」
重要証人とされていたA氏とのインタビューがVTRで紹介された。Aは事件の核心部分に触れる質問になると、「忘れた。記憶にない」と言葉を濁した。Aは元暴力団員で、事件前後に別の事件で収監され、獄中から「俺が検察有利の証言をすれば減刑されるだろう」という主旨の手紙を知人に送っていた。
血痕の付いた衣服「持ち帰った」「川に捨てた」「埋めた」…
所「A氏が見たとされる前川さんの血痕が付いた衣服についても、私たちが質問すると、最初は前川が自宅に持ち帰ったと話していましたが、自分が川に捨てたとなり、次は知り合いと土手に埋めたと言うことが変わっていきました」
司会の羽鳥慎一は「どうしてこんな人の証言を検察や裁判所は信じてしまったのか」と首をかしげ、コメンテーターの玉川徹(テレビ朝日ディレクター)は「司法といっても、根は行政機関。日々、色々な案件が持ち込まれて、早く処理をしなければという意識がどこかで働いていたのだろう」と言う。証人は自分の刑を軽くしてもらおうと、検察・警察の描く筋書きに沿った供述をしたようだが、同様の「でっち上げ」は他にもまだまだありそうだ。