「犯す前に『犯しますよ』と言いますか?」
このひどい発言で防衛省の沖縄出先機関のトップ、田中聡沖縄防衛局長が29日(2011年11月)に更迭された。発言があったのは28日夜、那覇市内の居酒屋で開かれたオフレコを前提にした報道各社との懇談の席でだった。記者から政府が辺野古の環境影響評価書の提出時期を明確にしないわけを問われて、口走ったのだ。
看過できないと地元「琉球新報」が1面トップ
「率直な意見交換ができれば…」と田中が設けた席で、「ここでの話はオフレコだから」と念を押したというが、ひどい比喩を看過できないと地元紙の琉球新報が翌29日朝刊1面トップで報じて明らかになった。田中は「『犯す』という言葉を使った記憶はない」と曖昧な釈明で逃げたが、一川保夫防衛相は「弁解の余地はない」と更迭した。
沖縄県民にとって辺野古移設は重要な問題。しかも「基地の島・沖縄」は米兵による女性への性犯罪が絶えず、1995年の少女暴行事件の記憶がいまだに生々しく残っている。仲井真弘多沖縄県知事は「あんまりバカバカしくて、コメントする気も起らない」と吐き捨てた。
沖縄の現地責任者として決定的な資質欠如
ところが、スタジオでは司会の小倉智昭がこんなことを言う。 「情けなくなるほどひどい発言なのですが、問題点は2つある。オフレコ発言でどこまで責任を持つ必要があるのか。それと、この局長は自民党時代からの防衛省のキャリアであって、今の政府と結びつけるのは早計だと思う」
屈辱的な歴史を抱える沖縄県民の思いを逆なでするような例え方は、オフレコうんぬん以前に、沖縄の現地責任者としての根本的な資質が問われるのはやむを得ない。さらに、田中は辺野古移設にかかわる環境影響評価書の現地責任者で政府の一員である。
火ダネが広がるのを心配しての小倉発言だろうが、脱線し過ぎ。タレントのデープ・スペクターが「どういう状況でもこの例え方、表現は相応しくない」と反論されていた。