読売巨人軍の内紛は双方で法廷闘争も辞さない雲行きになってきたが、一足早くテレビ報道では勝負の行方が見えてきたようだ。
当初「老害だ」「鶴の一声だ」と渡辺恒雄・読売グループ会長を揶揄する一方、清武英利・巨人軍代表を「勇気ある行動」などと囃したてていたのが一転、テレビ番組ではボスに噛みついた清武への批判が目立ってきた。「とくダネ!」も機を見て敏というか、神輿を担いだ。
小倉智昭「清武前代表。なんで外国人記者相手に会見?」
清武は25日(2011年11月)、外国特派員協会で解任後初めて記者会見を行った。その中で、11日の衝撃会見の直前に渡辺から電話あり、「会見をやめろ。君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだぞ」と恫喝されたことを明らかにした。
司会の小倉智昭が白けたのは清武が外国特派員協会を記者会見場に選んだこと。「外国人記者は10人もいなくて、最初、(清武が)反論を読み上げた時は寝ていた外国人もいたようだ」から始まった。単なる1プロ野球団のお家騒動を、なぜ外国人記者のクラブで披露しようとしたのか、たしかに解せないところだ。
笠井信輔アナ「原監督も桃井恒和球団社長もナベツネさんに付いたのは怖いだけなのか。ナベツネさんにはいろいろな魅力があるからではないのか」
ギャップ力、吸引力、子ども力、オヤジ力
サンケイスポーツの巨人軍担当の女性記者が登場して、こんな噺を披露する。
「(渡辺は)信じられないかもしれないが、ハイヤーでコンビニに横付けし、てくてく歩いてお弁当を買い、車のなかでパクパク食べている。弱々しいおじいちゃんの姿を見せながら、突然に怒る『ギャップ力』が面白い」
評伝を書いたことがある魚住昭(元共同通信記者)も、「相手を面白がらせる茶目っ気、人を取り込む力『吸引力』の強い人」と話す。
渡辺語録を分析した「ナベツネだもの」の著者・石黒謙吾は、「女性の対談相手だと『キスさせてくれるのか』と突然言い出す『子ども力』」
営業コンサルタントの島田士郎は「キツイことを言っても最後まで面倒をみる。抱え込む人なんですよ。認知症の夫人を施設に入れずに、毎日抱きしめてキスをする『オヤジ力』がある」
さらに、スタジオでもナベツネヨイショが続く。作家の柴門ふみは「清武さんは女々しい人じゃないですか。恫喝されたというが、本人は普段からああいうことを言っている人で、恫喝と考えていないのでは」
最後に小倉が、「記者会見を聞いてこれで終わったなと思った。新しいものは何もなく、本人の保身しか感じられなくて、何の興味もなくなった」
窮鼠猫を噛むの例えは死語。今や長いものに巻かれろの時代か……。